小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ステップ6 ~来るのはどんなお客様? 対象者理解に必要な5つの視点〜

菊間彰一般社団法人をかしや代表理事

2018.12.06山口県

小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ステップ6 〜来るのはどんなお客様? 対象者理解に必要な5つの視点〜
対象となるなお客さんをしっかり理解し、みんなで一緒に笑いあえる関係を目指しましょう

 観光まちづくりの現場の方が実践するための「ノウハウ」と「あり方、心構え」に関する連載記事です。知識ばかりでずっとしゃべっているガイドではなく、参加者がのびのびと楽しみながら、そのまちを好きになっていくためのガイド手法をお伝えしていきます。ガイドがどうやって参加者にまちを楽しんでもらうか。そのためにやるべきことはどのようなことかについて、12ステップで解説します。

 みなさんこんにちは。愛媛県今治市を拠点に、ガイド活動やガイド養成研修を生業にしている菊間です。ガイド手法やガイドの心構えに関する本記事、6回目となる今回のテーマは「対象者理解」です。 ガイドの現場にはさまざまなお客さんがいらっしゃいます。前回解説したとおり、ガイドはサービス業です。どんな方にも満足していただくために「対象者理解」をしっかりと行いましょう。

お客さんはどんな人?  

 あなたのガイドの現場に来るお客さんはどんな人でしょうか? 大人でしょうか? 子どもでしょうか? 年齢層はどのくらい? 男女の比率や、全体の人数はどのくらいでしょうか?  こういったことを事前に考えておくことは非常に重要です。なぜならば、対象となるお客さんによってガイドの接し方や解説の仕方、全体の進行ペースなどが変わってくるからです。ガイドはお客さんに喜んでいただけるように、あらかじめ予測し、現場では柔軟に対処する必要があります。対象者理解をする上で、考えるべき5つの視点を紹介します。

 1. 人数、全体の人数は?

 2. 年齢層。大人が多いか、子どもが多いか、その混合か?

 3. 男女のバランス

 4. まちや歴史や自然など、ガイド対象物への興味、関心度

 5. 身体的、知的、精神的なハンディキャップの有無

1.全体の人数

 まずチェックすべきは人数です。人数は重要です。一般的に言って、だいたい10人までであれば、それほど心配する必要はありません。丁寧に接することを心がけてさえいれば、問題なくガイドできるでしょう。

 しかし10人を超えると事情が変わってきます。ガイドの立ち位置とお客さんとの距離を適切にとらないと後ろの方の人には話が全く聞こえないということが起きます。こうなってしまうと満足度は下がり、お客さんに二度と来てもらえないということもあり得るのです。

 人数が10人を超えたら、ガイドが話をするときは常にお客さんの中心に立ち、扇型の陣形をとりましょう。こうすることでお客さん全員とほぼ等距離で話すことができます。お客さんとの距離は、一番近い人でだいたい1.8メートル、畳一枚分です。このくらいの距離を保つことで親密な空気を作り出すことができます。

 そしてもし人数が増えたとしても、ガイド一人当たりのお客さんは20人までにとどめておいた方が賢明です。立ち位置のとり方次第でそれ以上の人数も対応可能ですが、非常に難しくなるので、ガイド一人で見ることのできる最大人数は20人まで、と覚えておきましょう。

小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ステップ6 〜来るのはどんなお客様? 対象者理解に必要な5つの視点〜
ガイドは常にお客さんの中心に位置し「扇の陣形」をとりましょう

2.年齢層、大人だけか、大人と子どもか?

 お客さんの年齢層によっても対応が違ってきます。大人のみの場合、子どものみの場合はそれほど問題ないのですが、大人と子どもが混ざっている場合は対応を工夫する必要があります。

 集団のなかに知識や体力の差があるときには、「一番下のレベルに合わせる」のが基本です。したがって子どもと大人がいた場合、説明のレベルは子どもでもわかるレベルに設定しましょう。解説する際に、子どもを含めた全体に説明したあと、大人だけにチョット専門的な追加情報を言ってあげるという、子どもと大人の二段階説明もこの場合有効なテクニックです。

 年配の方や足の悪い方がいたら、歩くスピードや進行のテンポなど体力的な部分は年配の方に合わせるようにしましょう。ちょっとした段差でも転んでしまう場合もあるので、距離やアップダウンの有無を考え、あらかじめハードすぎないコースを設定します。耳が遠い場合もあるので、話すときはゆっくり、ハッキリと発音し、しっかりと声を届けるようにしましょう。

 また子どもと大人が混ざっているとき、多くの人は子どもに熱心に話しかけます。子どものほうが前に出てくるし反応がいいからです。しかし、後ろに大人がいることを忘れてはいけません。そういう時、大人は退屈しています。全体を把握するために、常に後ろの大人も見て話しかけることを習慣にしましょう。

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大人と子ども、両方への配慮を

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