連載 小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ~ステップ2 まち独自の魅力の見つけ方~

菊間彰一般社団法人をかしや代表理事

2018.07.26愛媛県

ステップ1 小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ

小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ~ステップ2 まち独自の魅力の見つけ方~
じっくり歩いて、まちの魅力を探そう(愛媛県今治のまち)

 観光まちづくりの現場の方が実践するための「ノウハウ」と「あり方、心構え」に関する連載記事です。知識ばかりでずっとしゃべっているガイドではなく、参加者がのびのびと楽しみながら、そのまちを好きになっていくためのガイド手法をお伝えしていきます。ガイドがどうやって参加者にまちを楽しんでもらうか。そのためにやるべきことはどのようなことかについて、12ステップで解説します。

 みなさんこんにちは。愛媛県今治市を拠点に、ガイド活動やガイド養成研修を生業にしている菊間です。ガイド手法やガイドの心構えに関する本記事、2回目となる今回のテーマは「まち独自の魅力の見つけ方」です。どんなまちにもそのまち「ならでは」の魅力があります。その見つけ方を一緒に考えていきましょう。

十分な下見と調査

 まちの魅力を見つけるために必要なことは、なんと言っても「下見」です。予備調査ですね。まずはまちを歩いてみましょう。そしてまちを見て、雰囲気を感じてみましょう。どのまちにもそのまち「ならでは」のことがあるはず。それを感じることが大切です。そのまちにしかないものは何か、よそと違ったところは何かを探っていきます。この時一番わかりやすいのは「景観」、見た目です。まずはじっくり見て、特徴的な景観を探してみましょう。たとえば以下のような視点で見ると良いでしょう。

小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ~ステップ2 まち独自の魅力の見つけ方~

 このような視点を持って、まちをぶらぶらと歩いて見ましょう。まずは車でざっと流しても良いかもしれません。きっといろんなことが見えてくるはずです。私も以前、こんなことがありました。

 愛媛県の宇和島市を訪れたときのことです。まずは車で市内に入ったのですが、走っているうちに不思議なことに気づきました。なぜか道がまっすぐではなく、曲がっていたり折れ曲がっていたりして、なかなか目的地にたどり着けないのです。

 不思議に思って、まちの歴史をひもといてみて謎がとけました。宇和島は、現存12天守の一つ「宇和島城」を中心に築かれたまちです。(現存12天守とは江戸時代以前つくられたお城(天守)のこと)。そして宇和島城とその縄張り(敷地)は、築城の名手、藤堂高虎により築かれました。特徴は、通常四角形の城の縄張りが、なんと五角形に設計されていること。これにより、攻め入る敵を混乱させ、迷わせる効果があります。四角形だと思い込んで迷ってしまうのです。城の縄張りが五角形なのは珍しく、有名なのは星型要塞として知られる函館の五稜郭くらいでしょう。

 宇和島のまちは、その五角形の縄張りを元につくられています。だからどうしても迷ってしまうのです。今から400年以上前につくられた城の設計が、今のまちなみに反映されているってすごいことだと思いませんか?

小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ ~ステップ2 まち独自の魅力の見つけ方~
国内に現存している12の天守のうちの一つである「宇和島城天守」 写真提供:宇和島市

1 2

スポンサードリンク