智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに

2017.07.07鳥取県

智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに
山の幸をふんだんに使った料理が味わえる「みたき園」

 今回は観光Reデザイン編集部が鳥取県の八頭町、智頭町を巡り、食をテーマにした地域観光ルートを探った。

 八頭町は「大江ノ郷自然牧場」、智頭町では「山菜料理みたき園」「野原のcafeぽすと」やパン屋「タルマーリー」などの魅力や、そうした小さな拠点をつなぐ新しい交通手段として期待されている地域発の格安レンタカーについても紹介する。

「観光でまちづくり」には周遊ルートづくりが必須

 地域の小さな町や村が観光で生きるなら、これからは周遊ルートや広域観光によるのが一番いいのではないか。「ゴールデンルート」から地域へと興味を向けてもらうのだから、こちらも「他にない何か」「こんなにたくさんある」と見せていかなければならない。ここに来なければ味わえない魅力を、ある程度の広がりを持った地域で発揮できなければならないと思う。

 観光庁が推進する「広域観光周遊ルート形成促進事業」は現在全国で11の地域が指定されているし、日本版DMOの多くが「広域連携」「地域連携」型であることをみても周遊ルート化が求められていることがよく分かる。

 でも、こんな組織はなくても、そこにしかない良さが隠れている地域はたくさんある。その小さな点がつながれば、やがて自然に地域観光ルートとして見えてくるのではないだろうか。

 ここでは、鳥取県東部の智頭街道周辺でその魅力を考え、この地域ならではのルート探しをしてみたいと思う。

鳥取東部は「関西日帰り観光圏」なのか?

 中国山地は人口減の激しい地域だが、Iターン希望者が多いというのは面白い現象だ。そこには気候風土が比較的安定している、地震災害の確立がそれほど高くないといわれている、などの理由が挙げられるが、山間地の中に人口減とはいいながらも集落が維持されて、歴史と文化がそこにあることが大きな理由ではないかと思う。

 智頭街道は現在の鳥取市から岡山県姫路市を結ぶ因州街道の主要ルートで、鳥取市から八頭郡八頭町、智頭町を経て岡山の西粟倉村、美作市大原、佐用町、たつの市などを抜けて姫路へ至るルートだ。 

 例えば道路なら国道53号線から373号線のルート、鉄道であればJR因美線から智頭急行のルートがほぼ該当し、中国山地を南北に突っ切るイメージだ。

 鳥取県東部は中国地方ではあるが関西圏から意外に近く、かなり前から日帰り観光圏として認識されていた。高速道路利用で片道約2~4時間の位置にあり、地域内に宿泊施設はごくわずかで、あとは鳥取市内になってしまうという実情も合わせ、「宿泊なし」の旅行先というイメージができていた。

智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに
杉山が続く智頭町

智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに
大江ノ郷自然牧場近くには豊かな農地が広がる

中山間地域は「自然を食べる旅」の宝庫だ

 「鳥取観光」というと鳥取砂丘、ジオパークのある海岸線、日本海の美味しい食など、海側のイメージが最初に出てくる。確かに日本海の魚介類は本当に美味しいけれど、本当にそれだけなのか。そこで最近気になっていた中山間地域の智頭街道周辺で、食をテーマにポイントを探してみた。 岡山側にも素晴らしい場所はたくさんあるが、今回は取材時間の都合もあり鳥取県内に絞って、「自然を食べる旅」のポイントを紹介する。

 まずは鳥取駅からスタートする。 今回ピックアップしてご紹介するのは八頭町にある「大江ノ郷自然牧場」。智頭町の「山菜料理みたき園」「野原のcafeぽすと」、パン屋「タルマーリー」の4カ所とした。

智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに
大江ノ郷ヴィレッジ 2階がレストラン

智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに
みたき園では山の澄んだ空気のなかでくつろぎの食が楽しめる

智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに
保育園を改装したタルマーリーの店舗

智頭街道を「自然を食べる旅」の周遊ルートに
木造のぽすとにはレトロな雰囲気が

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