ロケ誘致で地域活性化! 地域を巻き込むロケツーリズム

山田実希雑誌『ロケーションジャパン』編集長

2017.02.21

4つの指標-1:撮影サポート度

 映像制作者がスムーズにロケを進めるための支援体制が整っているかを表す指標である。
 窓口の一本化、撮影の円滑な進行、エキストラ協力、ロケ地の数が支援度の向上につながる。

山田:受け入れ側が窓口を一本化することで、制作者にとっては手続きが楽になります。また、予算を抑えるという面で考えると、関東近郊のロケが多くなります。地方で撮影する場合は、すべてのシーンをその地域の中で撮影できるよう、ロケ地のバリエーションが多い方が喜ばれるようです。

 複数の地域が連携して窓口を一本化している場合もある。いすみ外房フィルムコミッションでは、いすみ市、勝浦市、御宿町、大多喜町の4地域が連携することで、山から海まで多様なロケ地の紹介が可能となった。また、県内18市町村が連携した大分県ロケツーリズム推進協議会のように県が窓口を担っている事例もある。

【綾瀬ロケーションサービスの例】
 撮影サポート度を高めるためには、窓口の一本化だけでなく、ロケ地やエキストラの数、炊き出し、ロケ弁などの有無が重要となる。
 綾瀬市は、市長がロケ支援に対して意欲的で、ロケーションサービスの方も積極的に活動している。市役所などの行政施設もロケ地を提供している。

4つの指標-2:行楽度

ロケツーリズム
イケメン×グルメで楽しめる! 綾瀬ロケ地MAP

 観光客が訪れた際、物語の世界観を味わえるか、旅を楽しむことができるかの指標である。ロケ地としての行楽度を上げるためには、ロケ地マップなどのロケ実績を活用したツールを作成することが効果的である。そうしたツールに、俳優の写真やロケ関連の情報を掲載するためには権利処理(その著作権所有者への許可申請)を行わなければならない。また、権利処理は必ず事前に行う必要がある。

山田:権利処理は撮影が始まる前に済ませておくことが大切です。撮影前は、映像制作会社、テレビ局、DVD販売会社などの出資会社が集まって制作委員会が立ち上がります。委員会では何度か打ち合わせが行われるため、そのタイミングであればスムーズに権利処理を進めることができるのです。撮影が始まってしまうと現場に余裕はなく、撮影終了後は制作スタッフがそれぞれの所属先に戻り権利も分散してしまうため、さらに難しくなります。権利処理はそのノウハウが分からないため、できていない地域が多いのですが、一つ一つ順を追っていけば解決できるのです。

 権利処理を適正に行うことで初めて、ロケを活用した効果的なツールを作成することができる。

【綾瀬ロケーションサービスの例】
 話題の俳優による出演作品が多く撮影されていることを生かし、『イケメン×グルメで楽しめる! 綾瀬ロケ地MAP』というロケ地マップを作成した。マップには、ドラマのワンシーンや、ドラマで使われたロケ地の写真などが掲載され、さらに綾瀬市のグルメも紹介されている。ロケ地巡りをきっかけにまちを知ってもらうための仕掛けが施されている。このロケ地マップは県外からも多くの問い合わせが入るほど人気となっている。

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