地域おこし協力隊が円滑に活動し、定着するためには

千田良仁一般社団法人村楽 代表理事

2016.06.01

制度を有効に活用するために

 では地域おこし協力隊制度を有効に活用するために具体的にどのような点に気をつけなければならないだろうか? 私が代表を務める一般社団法人村楽が関わってきた事例などから、受け入れ自治体が募集時と運用時に注意すべきポイントを紹介する。

 まず、募集時に注意すべきポイントを以下にまとめた。
 ポイントは1.「地域おこし協力隊」という名称は使わない、2.募集要項に兼業規定、住宅/自動車規定を明記、3.地元受け入れの後見人・外部メンターを確保、の3点であり、志望者の特性や希望と、地域から求められる役割をすり合わせ、地域と一体となってミッションを明確にする事前準備が重要であるといえる。

地域おこし協力隊が円滑に活動し、定着するためには

 

 運用時においては、地域住民、地元企業の活力を引き出すための掛け算の強化が必要であり、そのために、1.地域内の雇用のパイを奪うのではなく創出する、2.契約を1年ごとに見直し柔軟に運用する、3.その地域に定住することを目標にしない、の視点が重要になってくると考えられる。

地域おこし協力隊が円滑に活動し、定着するためには

 地方創生時代においては、国の制度をしたたかに利用しつつ、若者たちの未来の可能性を広げる地域が結果的には繁栄すると考えている。今後も村楽のプラットフォームを通じて、これら全国の協力隊員に普遍的に存在する課題点について、ある程度の一般解を提供していきたい。また、総務省や自治体に対して提言を行っていくことで、協力隊制度のさらなるアップデートを図っていきたい。

リンク:一般社団法人村楽Facebook

著者プロフィール

千田良仁

千田良仁一般社団法人村楽 代表理事

香川県さぬき市出身。京都大学大学院博士課程単位取得退学。民間シンクタンク研究員、東京大学農学生命科学研究科特任講師を経て現職。
皇學館大学教育開発センター准教授、久慈市地方創生アドバイザー、吉賀町地域力創造アドバイザー、NPO法人てヲとる副理事。
専門は農林漁業経済学、地域イノベーション論。
全国の中山間地域でヒト・モノ・カネのコーディネートを通じた地域資源の発掘・利活用による地域活性化の支援を行っている。

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