“稼ぐ地域”を創造する道の駅の戦略発想 道の駅「うつのみやろまんちっく村」を事例として
「むすぶ」「つなぐ」「場をつくる」
一方で、地域の戦略的な高付加価値化は、なかなか当事者のみでは進まないのも現実で、コーディネート機能の存在が不可欠ともいえます。このコーディネート機能とは、地域の課題解決のための、人と人、地域と地域、生産者と消費者、アイデアとアイデアを結びつなぐこと、そして価値創造のための場づくりそのものです。
私は全国でさまざまな地域の課題と向き合ってまいりましたが、経験上、どの地域でも微細な内容の違いこそありながらも、総じてこの「むすぶ・つなぐ・場をつくる」機能への対応が求められているという共通課題があるように感じました。
まさに道の駅こそ、その諸機能を生かすことで、こうした課題解決のコーディネート役になれるものと確信しており、そうした「道の駅」を核とした先導的な地域活性化の取り組みを自ら展開し全国に発信することが、当社が道の駅供用を目指した経緯といえます。
まさに当社の道の駅経営戦略は、新たな公共投資頼りの地域活性ではなく、現有する道の駅が持つべき「むすぶ・つなぐ・場をつくる」機能を生かした地域経営の中核拠点化という、持続可能な地域活性への実証トライアル提案でもあると考えます。
村市場あおぞら館
利益還流を生み出す交流型6次産業化の出口戦略
6次産業化という言葉が浸透して久しいですが、法制化当初において6次産業化が想定していた典型的なスキームは、生産者が加工・販売等に進出する自発的垂直連携、すなわち、自らが2次、3次産業に進出して、所得向上を目指すものでありました。しかしながら実態としてその自発的垂直連携の枠組みを主体的に構築できる生産者は、残念ながらごく一部に限られている上に、生み出された商品をいかに売るかという「出口戦略」が描けない6次産業化は、付加価値を生み出すこと以前に経営の持続性を担保しないものでした。
紆余曲折を経ながら、現在は個々の経営単位だけではなく、地域レベルの6次産業化の推進が求められております。さらに6次産業化は、商品開発だけが論点ではなく、観光も重要な要素であることの理解を進める必要があります。すなわち食農観や農商工など、さまざまな業種が枠組みを超えた連携において実現する、地域の利益還流を生み出す仕組み作りにおいて、「道の駅」のような交流拠点かつ出口戦略拠点は、まさに地域の利益還流の原動力となるのだと考えます。
私はこのように「道の駅」などの交流拠点を活用した地域全体の6次産業化を「交流型6次産業化」と定義し、その役割の重要性を提唱しています。
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