ジオパーク認定を活用するための整備に取り組む萩ジオパーク構想推進協議会 ジオパーク専門員の白井孝明さんに聞く
阿武町奈古にある「モドロ岬」は、表面が水玉模様に見えるのが特徴で、1億年前に巨大噴火を起こした2種類のマグマが冷え固まったことで形成された
山口県の萩ジオパーク構想推進協議会は今、日本ジオパークネットワークの加盟認定を目指している。ジオパーク専門員の白井孝明(しらい・たかあき)さんは、地域住民にジオパークへの理解を広げ、認定を活用するための整備に取り組んでいる。白井さんに採用された経緯や最近の活動内容、今後の見通しについて話をうかがった。
白井孝明さん
何のためにジオパーク認定を目指すのか
弥富地区にある「畳ヶ淵」は、伊良尾山の噴火で、溶岩流が冷え固まるときに六角形の柱状に形成された
萩市と阿武町、山口市阿東地域の行政や市民ガイドなどで構成し、ジオサイトの保全、教育活動、地域振興などのジオパーク活動を推進する組織として2015年に結成されたのが、萩ジオパーク構想推進協議会である。
同協議会では1億年前から1万年前までのマグマ活動を体感できるジオサイトを活用して、観光客の誘客などに取り組み、2016年に日本ジオパークネットワークの加盟申請を行った。しかし、いくつかの準備不足が指摘され認定が見送りとなった。なぜそうなったのか、理由には大きく3つが挙げられる。
1つ目は地学に精通し、専門家と地域住民をつないでまちづくりをするジオパーク専門員が不在だったこと。
2つ目は目的やビジョンなどの構想がないまま、ジオパーク認定を目指していたこと。
3つ目はさまざまな活動団体が一丸となってジオパーク活動を運営する体制が整備されていなかったことにある。
この課題を乗り越えるため、萩市は2017年4月に白井さんを採用した。
白井さんは協議会や地域住民と「何のためにジオパーク認定を目指すのか」について話し合い、ビジョンを「地球の視点で萩らしさが〈見える〉〈伝わる〉まち」とし、地球目線で「知る」「守る」「創る」「伝える」「繋がる」で活動を展開し、それぞれの目標を設定した。目標の概要については以下のとおりである。
白井:ジオパークの認定というのはゴールではありません。あくまでも国内の認定地域のネットワークに『加わる』だけです。だからこそジオパークという手段を使って萩らしいまちづくりをすることが大切です。まずは地域住民にジオパークについて知ってもらおうと、楽しく学べる講座「萩ジオマスター講座」を開催しました。
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