ジオパーク認定を活用するための整備に取り組む萩ジオパーク構想推進協議会 ジオパーク専門員の白井孝明さんに聞く

白井孝明萩ジオパーク構想推進協議会事務局萩市総務企画部ジオパーク推進課ジオパーク専門員

2018.04.02山口県

国内のジオパークと交流する「ジオカフェ」とは

ジオパーク認定を活用するための整備に取り組む萩ジオパーク構想推進協議会 ジオパーク専門員の白井孝明さんに聞く
ゲストハウスrucoを会場に開かれているジオカフェ

 萩ジオパーク構想推進協議会では、2025年までのアクションプランを策定し、さまざまな活動を展開している。萩市はその活動を支援しようと人員や予算の確保などを行うが、時間とマンパワーがまだ足りていない。協力者を増やすという目的から、白井さんが力を入れているのが「ジオカフェ」である。

 ジオカフェは誰でも参加可能で、毎月第3木曜日の19時からゲストハウスrucoを会場に、萩と国内のジオパーク認定地域をSkypeでつなぎ、それぞれの代表者が事前に送った定番土産と大地の関係性について話をするのだ。これまでに秋田県の「男鹿半島・大潟ジオパーク」、鹿児島県の「三島村・鬼界カルデラジオパーク」、山口県の「Mine 秋吉台ジオパーク」が参加した。

 定番土産は、その土地ならではの気温や降水量、地形などが関与しあって生まれている。萩の定番土産である「夏みかんの丸漬け」は、明治維新後、政治的、経済的に打撃を受けた武士を救済するための策として夏みかんの栽培が始まった。当時菓子司であった初代「光國作右衛門」が、その皮を菓子にしようと試行錯誤の末に完成させたものである。今は白井さんがカフェでこんな話をしているが、いずれは地元の人が担えたらと考えている。そしてこの取り組みにはもう一つの狙いもある。

白井:他の認定地域で『あなたのジオパークはどんなところですか?』と聞くと、『安山岩があって……』という地形や地質の貴重さの説明から始まります。でもそれを受け止めてくれるのは地形や地質好きの人や認定地域だけです。どんな話をしたらもっとジオパークに興味を持ってもらえるか、ジオカフェを通じて認定地域が考えていく場にしていきたいですね。

 白井さんの活動が追い風となり、次回は認定となることが期待される。認定への道は簡単ではないが、活動から生まれた人と人、ここで培われた地域と人のつながりがなくなることはない。萩に対する誇りや愛着を感じた人たちは自ら考え、動きだし、萩らしいまちづくりを今後も続けていくだろう。

 近年、国内では地震や火山の噴火などが発生しているが、自分たちが暮らす地形や地質を知ることが、災害予防につながることもある、今一度、自分たちが暮らす大地のことを知り、先人たちの知恵から、今後の暮らし方について考えてみるのはいかがだろうか。

(※2018年9月20日、萩市は日本ジオパークネットワークに加盟認定された)

(インタビュー/文 塩田恵理子)

リンク:萩ジオパーク構想推進協議会 

取材対象者プロフィール

白井孝明

白井孝明萩ジオパーク構想推進協議会事務局萩市総務企画部ジオパーク推進課ジオパーク専門員

1987年静岡県生まれ。博物館学芸員を目指し、東北大学理学部から東北大学院理学研究科地学専攻に進学。2014年から高知県室戸市で地質専門員として勤務。2017年4月から現職。

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