ようこそ、柑橘の世界へ

広井亜香里NPO 法人柑橘ソムリエ愛媛

2018.01.30愛媛県

今の時期のおすすめ柑橘

 さて、年が明けた今の時期からは、中晩柑のトップシーズン。

 これからの季節に出会えるおすすめ柑橘をご紹介しよう。

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濃厚な果汁の「せとか」

 まずは、早いもので2月頃から出回る「せとか」。独特の香気と、むっちりした実、果肉を噛んだ時にじゅわっと細胞まで染み込んでくるような濃厚な果汁は、一度食べたら虜になるはず。皮は手で剥け、じょうのう膜(果肉を包む白い内皮)も薄いのでとても食べやすい。まだまだ高級柑橘の立ち位置にあるが、一度食べてみる価値はあり。色気すら漂う艶やかな果皮に是非触れてみてほしい。

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一見酸っぱそうに見えるが実は甘い「はるか」

 続いては同じ時期の「はるか」。目にまぶしい鮮やかな黄色い果皮と、果実のお尻に刻まれたリングが特徴の柑橘だ。見た目には酸っぱそうな黄色い柑橘を侮るなかれ。ひとたび口に入れれば、柔らかでふつふつと湧き上がる甘みと、ほどける食感に驚くだろう。その美味しさは食べた人にしか分からない「ツンデレ柑橘」である。

 愛媛県オリジナル品種の「甘平(かんぺい)」も外せない。シャキシャキしたさじょう(果肉のツブツブ)からはじける深い甘みは食べた後にまで濃く余韻を残す。扁平な形は目にも楽しい。

 馴染みのない柑橘を手に取るとき、当たり外れがあるから、と購入をためらう人も多いかもしれない。そんな方にお勧めなのは、週末に各所で開催されるファーマーズマーケット等のイベント。この時期はとりわけ柑橘類の出店がよく見られ、多くは試食もできる。ほとんどの場合、生産者が直接販売していたり、生産者から直接仕入れた業者が販売しているので、量販店で購入するよりも圧倒的に鮮度や状態が良いことが多い。柑橘好きは是非足を運んでみてほしい。もっとも、本当に美味しい柑橘を食べたい人は、実際に産地を訪れ、農家さんに伺って旬の柑橘をいただくべし。

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鮮度や状態の良い柑橘が試食・購入できるファーマーズマーケットがおすすめ

「かんきつ家」としての活動

 私は、柑橘ソムリエの活動とは別に「かんきつ家」を名乗っての活動も行っている。一つの産地に縛られない東京出身の利点を生かして全国の柑橘産地を訪れながら、産地ごとの柑橘の魅力を掘り下げ、イベント等でその魅力の発信をこころみているところだ。かんきつ家の目的は、「カルチャーとしての柑橘」を広めること。それから、私が感動したような、本当に美味しい柑橘に出会ったときの体験を、多くの人と共有すること。これは、柑橘ソムリエの「柑橘文化を広める」という理念にも重なる。

 柑橘ソムリエライセンス制度を通して、かんきつ家の活動を通して、もっともっと、奥深い柑橘の世界に興味を持ち、「柑橘を楽しむ」ことのできる人を増やすことがこれからの目標だ。みなさんもどうぞ、柑橘の世界へ!

著者プロフィール

広井亜香里

広井亜香里NPO 法人柑橘ソムリエ愛媛

1995年東京生まれ。NPO 法人柑橘ソムリエ愛媛所属。
愛媛県宇和島市でのインターンシップをきっかけに柑橘ソムリエ愛媛に入会。
「柑橘文化を創り広めること」「本物の柑橘の味を広めること」をモットーに、愛媛と東京
を往復しながら個性的なメンバーたちと活動を行っている。
個人では「かんきつ家」の屋号で、全国の産地をまたいだ柑橘の魅力PR も行う。
柑橘産地めぐりのために休学していた大学を今春卒業予定。

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