大学生が取り組む新しい地域固有価値の発見プロジェクト 「北陸カレッジ」「ユニバーシティカレッジ南九州」

青谷実知代神戸松蔭女子学院大学人間科学部准教授

大学・学生にとってのカレッジ参加の意義

ユニバーシティカレッジ南九州
農家民泊を体験した「ユニバーシティカレッジ南九州」宮崎チーム

 大学生にとって成長の機会にもつながる「カレッジ」の取り組みを以下で詳しく紹介する。

 2012年からスタートした「鹿児島カレッジ」(鹿児島県(観光かごしま大キャンペーン推進協議会)、西日本旅客鉄道株式会社主催)に続き、2013年は「北陸カレッジ」がスタート(2013年は石川県、2014年は福井県で実施、共に北陸三県誘客促進連携協議会、西日本旅客鉄道株式会社主催)。そして2014年は「ユニバーシティカレッジ南九州」(鹿児島県・宮崎県・熊本県、西日本旅客鉄道株式会社主催)が立ち上がった。この「ユニバーシティカレッジ南九州」に関してはこれまでの個人旅行商品を創る「カレッジ」とは異なり、修学旅行メニューを考える取り組みである。(注)

 では、大学・学生側から見て「カレッジ」に参加する意義は何か、以下のとおり整理した。

(1)大学生が旅をし、地域の人々と交流(異文化交流)する中で、今までにない観光素材を①発見し、②創造し、③発信できる【観光庁の課題に対応】
 学生ならではの視点で、面白さや楽しさを具体的に形にすることは簡単ではない。どのような壁を乗り越え、力を身につけたのかを同時に見ることができる。

(2)経験による実践教育の充実(学生にとっての学びの成長)【産学連携課題に対応】
 普段の学びの場から飛び出し、環境を変え、地元の方々との交流を通して創造性が育まれることを期待する。

(3)文化(伝統文化)・産業への意識向上、日本固有の伝統文化の発見【社会的問題への対応】
 伝統文化・産業などを若い学生たちがどのように受け止めるのか、継承問題のあり方が学べる。

(4)キャリア形成(将来の目的が明確になる)につながる

 以上4点である。
 若者の旅行離れが懸念されている今、学生を見ていて感じることは決して旅行が嫌いなのではないということである。あまりにも情報過多の世の中となり、SNSを得意とする若者でさえも目先の情報だけでは旅をするきっかけにはならないということである。

 次に、体験を通してどのようにプランを作成していったのか、さらにカレッジに参加した学生が、カレッジ終了後も訪問先を訪れたり、地元の方との交流を深めている背景について述べる。

「ユニバーシティカレッジ南九州」の宮崎チーム サーフィンや古代衣装、農家民泊を経験して地元の知識を深めていきました
「ユニバーシティカレッジ南九州」の宮崎チーム サーフィンや古代衣装、農家民泊を経験して地元の知識を深めていきました

(注)詳しくは次のホームページをご覧いただきたい。これまでの活動報告も掲載されている。
JRおでかけネット カレッジトップページ(JR西日本) https://www.jr-odekake.net/navi/college/

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