日本を覆う女子旅旋風　持続可能な女子旅目的地とは

友原嘉彦四日市大学総合政策学部准教授

2015.08.03島根県

持続可能な女子旅目的地となるために①

　前ページで見ましたように、女子旅とは「中間層の日本人若年女性の旅」と換言できると思います。詳しくは友原(2015)「女子旅と出雲市」（四日市大学総合政策学部論集14巻1・2合併号）ですでに取り上げましたが、彼女たちはパワースポット、ゆるキャラ、占いといった観光資源に好意的な一方、萌え絵は苦手としています。また、マナー・ルール・常識や低価格も重視しています。

　では、どうすれば女子旅の目的地として選ばれるのでしょう。

　彼女たちの目線に立つのに有効なのは女子旅用ガイドブック（たとえば、『ララチッタ』JTBパブリッシング、『ことりっぷ』昭文社、『aruco』ダイヤモンド社、など）でしょう。地区として、洗練されている、カッコイイ、豪華であるなど、これらの中にヒントがあると思います。

　なお、出雲市を例に挙げると、彼女たちは観光資源では出雲大社とその徒歩圏以外、ほとんど出回っていません。女子旅はごく短期間のサクッとした旅です。もし、比較的小さな自治体にもかかわらず、自治体内で観光資源（観光地区）の「選択と集中」を行っていないならば、少なくとも女子旅向けには是正した方がよいかと思います。

　また、（特に若いほど）世間体を気にする、周りに流されやすいことも明らかになっています。これは有名な場所に弱い、なびくと解釈できます。やはり、彼女たちが目を通すメディアに取り上げられることが重要でしょう。

有名な寺社はパワースポットとして女子旅にも人気がある。写真は宮島（広島県）