日本を覆う女子旅旋風 持続可能な女子旅目的地とは

友原嘉彦四日市大学総合政策学部准教授

2015.08.03島根県

なぜ今、女子旅が熱いのか

伊勢神宮外宮前で女子旅の調査をする友原ゼミの学生たち
伊勢神宮外宮前で女子旅の調査をする友原ゼミの学生たち

 前ページの「騒がしい旅」が始まった時代は女性の大学進学や社会進出、男女共同参画といったものが今ほどは重視されておらず、整備や検討もまだ始まったばかりでした。女性たちはしがらみのない若い時分を存分に楽しむため、敢えて「わかりやすいリア充」を装っていたのかもしれません。しかし、今では女性の大学進学率も上昇し、教養のある落ち着いた女性が増え、中間層に厚みが出てきました。時代が成熟したこともあってか、全体的に服装やメイクも落ち着いたものとなり、また、女性の社会進出や男女共同参画も(1990年代後半と比べれば)かなり整備されてきました。

 このような背景から「職に就いている(自由に使用できる収入がある)、未婚である・子供がいない(家族に束縛されない自由な時間を持つ)、インターネットを使用する(情報を受信、そして発信する)」観光ターゲットとして適した若年女性は(個人差もありますが)大学卒業から「アラサー」と呼ばれる30歳代前半まで約10年間は顧客となる可能性があります。

 女子旅は一人旅を排除してはいませんが、特に国内旅行は複数人の小さなグループからなることがほとんどです(私が昨年、出雲大社前で行ったアンケート結果によると、18~33歳の女性観光者個人・集団132人のうち、2人以上で来ていた者は98%でした)。観光地側からすると「誰かに関心を持ってもらえれば、似た人が一緒にあと1、2人は来る」と考えると、潜在的な顧客として優良かつ有望ではないでしょうか。

 そして、女子旅は一過性のものか定着していくものかという問いですが、国民の全般として旅行への情熱は冷めやらぬものがありますし、若年層にカップル文化が根付かない限り、私は女子旅が定着していくものと考えます。

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