世界に通用する「フードピクト」で食のおもてなし NPO法人インターナショクナル

菊池信孝NPO法人インターナショクナル代表理事

2016.02.16京都府

誰にでも伝わるフードピクトの開発

 サウジアラビア人との体験後、菊池さんは大学の学園祭で日本語と英語で料理の原材料を表示したり、留学生が利用するコンビニエンスストアで独自にデザインしたフードピクトを付けるなど、安心して食を楽しめるような取り組みを行い、その有効性を実感していた。

菊池
「食材表示を世界の誰にでも伝わるものにしたいと、2009年から1年かけて、これまでのデザインをリニューアルしました。ISO(国際標準化機構)の図記号制作ガイドラインに従って試作品をつくり、世界1,500名以上に理解度・視認性・必要品目に関するアンケートを実施して、その結果をもとにデザインの変更・修正を繰り返し、最終案に仕上げていきます。例えば『乳』のフードピクトは、3度の変更・修正をしました。
 
 初めに、乳搾りに使う『集乳缶』でアンケートをとると理解度は77%でした。酪農文化がないから集乳缶を知らないというのが理由です。
 次に『紙パック』にしても、プラスチック容器や瓶で売っているものしか知らないため低いままでした。さらに改良を重ね『瓶に牛のマーク』を入れたデザインに変更したところ、理解度が98%に達し、これが現在の『乳』のフードピクトとなっています」

フードピクト
乳の遷移 © INTERNASHOKUNAL & NDC Graphics

 何度も改良を重ね、国籍・宗教・言語・年齢だけでなく、色を見分けにくい人にも情報が伝わるカラーユニバーサルデザインに適合した14品目のフードピクトが完成した。アレルギー・ベジタリアン・宗教による食戒律の約80%以上に対応できるよう、日本アレルギー協会や日本ベジタリアン協会などの専門家と連携して「表示基準」を定めているのが、他にはない取り組みだ。

フードピクト
© INTERNASHOKUNA & NDC Graphics

 さらに菊池さんたちが開発したフードピクトは、2010年にAPECの国際会議に提案し、横浜市内のホテルでビュッフェメニューに採用された。そこから「おもてなし」を伝えるツールとして注目されるようになった。やがて、関西国際空港や成田国際空港、ショッピングモールやホテルなど、全国1,300店舗で採用されるようになった。

ホテルでのビュッフェメニューにフードピクト
ホテルでのビュッフェメニューにフードピクト

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