地域文化に根ざしたツアーデザインのつくり方

井口智裕(株)いせん代表取締役、(一社)雪国観光圏代表理事

「雪国」という地域独自の価値を設定する

 まず我々が一番始めに取り組んだことは、この地域がもっている独自の価値の設定である。

 雪国観光圏は世界で最も雪が降る地域である。しかしながら雪が降るだけであれば同じような地域は全国至る所に存在する。また年間1000万人ものスキー客数が賑わう地域でもあるが、世界にはこの何十倍もスケールをもったスキーリゾートがいくつも存在する。
 「雪国」という抽象的な名称を冠している我々にとって、この地域が世界で無二の「雪国」であることを示すことは設立当初からの課題でもあった。

 この課題を解決させたのが、一昨年前に立ち上がった雪国文化ワーキンググループの存在である。このワーキンググループはそれぞれの市町村で歴史や郷土文化を研究している学芸員や有識者によって構成され、約1年間にわたり、歴史や文化的背景から、この地域のもっている独自の価値を議論してきた。

雪国観光圏

 そこで導きだされたコンセプトこそが「8000年前から続く雪国文化」である。この地域は狩猟を主としながらも約1万5000年前から人々が定住してきた歴史をもつ。驚くことに約8000年前から既に現在と同じような降雪量があったとされ、人々は長い年月をかけて、雪と共存しながら地域独自の文化を築き上げてきた。越冬するために培ってきた保存食の文化、また中世には雪の恵みを織物や酒造りなどの産業に結びつけ、近年ではスキーなどの観光資源としても活用してきた。

 ワーキンググループでは、この雪とともに歩んできた歴史と文化が多様に残っている事実こそが、この地が雪国たる所以であると結論づけた。

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ワーキンググループで勉強を重ねる

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