観光案内所から見えてくる観光地・ニッポンの姿とは?

2015.09.16東京都

富士山から期間限定のグッズまで

 観光案内所の利用者は、FIT(Foreign Independent Tour)と呼ばれる外国の個人旅行者が多い。地域別の旅行者数で1位となるのは中国であるが、中国の旅行者は団体ツアーの比率が高いため、案内所の利用者としては相対的には少ない。逆に、欧米の旅行者は個人旅行が多いため、案内所の利用も多くなる。

個人旅行者が多い欧米の観光客の方が観光案内所の利用率が相対的に高い
個人旅行者が多い欧米の観光客の方が観光案内所の利用率が相対的に高い

来訪回数が多い台湾の観光客は、より詳しい情報を求めて案内所にやってくる
来訪回数が多い台湾の観光客は、より詳しい情報を求めて案内所にやってくる

 ただ、どんな国の旅行者にとっても「富士山」への関心は高いようだ。行き方や登る際の服装、火山活動状況など富士山のことは案内所でも特によく聞かれるという。その一方で、日本人も知らないようなディープな情報を聞かれることもある。例えばリピート率が高い台湾の観光客からは、期間限定のお菓子や鉄道グッズについて聞かれることもあり、旅行者のお国柄が出るようだ。

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観光案内所での問い合わせ事例

 一人歩きの旅行者は、世界的な旅行本である『ロンリープラネット』やインターネットで情報を集めてから日本にやってくる。しかし、着いてから目的地に直行するのではなく、観光案内所で行先についてスタッフの意見を求めて、決める人も多いという。

矢田部:スマートフォンの普及でどこでも情報を調べられるようになりましたが、たとえネットで情報が得られるとしても、Face to Faceのコミュニケーションのニーズは必ずあると思います。通信環境の整備が進む中でも観光案内所の利用者は増えており、一人歩きの旅行者に対応できる観光案内所の存在は大きくなっているのかもしれません。

 顔を突き合わせて話すことは、旅行者の安心にもつながるだろう。国際観光サービスセンターで受託運営する観光案内所では、初めて聞かれた質問はスタッフ間で情報共有し、次回以降スムーズに対応できるよう努めている。

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