観光案内所から見えてくる観光地・ニッポンの姿とは?

2015.09.16東京都

訪日外国人数の増加で高まるニーズ

銀座の街中でも案内所のニーズが高まる
銀座の街中でも案内所のニーズが高まる

 訪日外国人数が過去最高ペースで急増している。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、今年1~7月の訪日外国人客数(推計値)は前年比46.9%増の1,105万8,300人と、年間2,000万人に迫る勢いとなっている。

 その外国人旅行者の受け入れにあたり、重要なスポットとなるのが外国人観光案内所である。実は、一口に観光案内所と言っても、その運営主体はさまざまだ。多くは地方公共団体や地域の観光協会などにより運営されているが、交通事業者や宿泊施設など旅行業に携わる民間事業者等が運営するケースもある。

JNTOによる観光案内所の認定制度

 平成24(2012)年、訪日外国人3,000万人時代を見据え、受入整備を進めるべく観光庁は「外国人観光案内所の運営・設置のあり方指針」を定めた(平成26年8月改訂)。その中で、JNTOによる外国人案内所の認定制度を構築し、その認定数は年々増加している。今年4月時点で認定を受けた案内所の数は全国528カ所に上る。

 認定は、カテゴリー(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)とパートナー施設の4つの区分からなる。カテゴリーは、観光案内を専業とする案内所で、多言語対応やサービス内容の充実度により分類される。それに対し、パートナー施設とは、宿泊者を対象に近辺の観光案内図を配布し、地域の見どころなどを案内する旅館など、専業としない施設やボランティア団体により運営される案内施設となる。

JNTO認定外国人観光案内所の区分
JNTO認定外国人観光案内所の区分

「外国人観光案内所は、同じ機能を有する案内所がどこにでもあればいいということではなく、立地によって変わる地域の実情や旅行者のニーズによって必要な機能を兼ね備えることが重要です」と国際観光サービスセンター矢田部暁さんは話す。国際観光サービスセンターは、JR東京駅や成田空港などで観光案内所の業務を受託し、運営している。

矢田部:例えば東京駅では、これから観光地に向かう旅行者が多く訪れるため、全国の交通利用や観光情報の提供が求められますが、着地側となる地域ではその周辺の細かな情報が求められます。言語にしても、韓国からの旅行者が多い九州では、英語よりも韓国語を話せる人が必要かもしれません。立地によって状況はかなり異なるようです。

 個人旅行者の視点から見れば、空港やターミナル駅など情報基地となる場所で旅行先の大まかな情報を掴み、現地の観光案内所でより詳しい情報を得られることが理想である。その回遊性を促すことが外国人観光案内所の役割と言えるだろう。

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