「モノの価値をお客さまに伝えるにはどうするか」燕三条 工場の祭典が生まれた背景  メソッド・山田遊さんインタビュー(後編)

山田遊株式会社メソッド 代表取締役

2017.12.12新潟県東京都

イベント集客に一番影響を与えるのはPR力

――ピンクのストライプには市役所の方も驚かれたのではないでしょうか。

山田:最初はびっくりされていましたが、デザイナーの説明を聞くとなるほどと納得されていました。こういったイベントの提案に乗ってくれる方々なので、理解があって、判断も早く、本当に人に恵まれていると思います。

 燕三条 工場の祭典では、目指す規模も明確にしていました。開放する工場も10カ所だけでは規模として物足りなさを感じたため、初年度では、50カ所以上の工場に参加していただきました。

 PRは、東京のHOW INC.さんにお願いしました。観光にまつわるイベントは年中各地で開かれていますが、集客に一番影響を与える要素はPR力だと思っています。PRする上でメディアに興味を持ってもらうには、デザイン性や目新しさも必要ですし、それぞれの歯車が上手く噛み合えば、より多くのメディアに取り上げてもらう確率が高くなります。

 内容もデザインも全てが大事ですが、イベントが成功したかの判断基準はやはりどれだけの人に来てもらえるか。イベント自体を知ってもらわないことには来てさえもらえないですかね。面白そう、行きたいと思ってもらうには、やはりPRの力が必要です。

 燕三条 工場の祭典も毎年地道に改善を積み重ね、HOW INC.さんのご尽力により、多くのメディアに取り上げてもらえるようになりました。

――2017年の工場の祭典(4日間)の来場者数は5万3,000人を超えて、毎年増え続けています。

山田:初年度で1万人以上の来場者があり、去年の時点で来場者35,000人、売り上げも2800万円を突破しました。

 ただ、イベントを数字だけで測ることはとても危険で、それによってイベント自体の方向性がおかしくなってしまうこともあります。燕三条 工場の祭典でも、家族だけで切り盛りしているような小規模の工場も多いので、あまりにもたくさんの人が来たらパンクしてしまいます。適正な人数を考える必要はあると思っています。

 燕三条 工場の祭典の出発点は、地域に興味を持ってもらい、そこで作られた産品を買って、長く愛用してくれる人を増やすことから始まったので、ただ、数字で測るよりも、毎年出てくる課題をきちんと解決していくことが今後のためにも大切だと思います。 

ものづくりの過程を知ってもらうことで、地場産品を買ってくれる人や長く愛用してくれる人が増やすことがイベントの目的でもある Photo:Ooki Jingu
ものづくりの過程を知ってもらうことで、地場産品を買ってくれる人や長く愛用してくれる人が増やすことがイベントの目的でもある Photo:Ooki Jingu

1 2 3 4

スポンサードリンク