「モノの価値をお客さまに伝えるにはどうするか」燕三条 工場の祭典が生まれた背景 メソッド・山田遊さんインタビュー(後編)
日本のモノづくりへの危機感
――モノづくりに関連して、これから始めたいことはありますか。
山田:今回の燕三条 工場の祭典に合わせて、本会場の三条ものづくり学校では「産地の祭典」というイベントを開催しました。
僕らも国内外のいろいろな産地を回る中で、学びや刺激があって、それを産地の人々同士でも体験してほしいなと思い、企画しました。北は石巻、南は台湾やインドまでさまざまな産地の人々が一堂に会しました。東京ならまだしも、燕三条ではこういった機会はこれまでなかなかありませんでした。
日本のモノづくりは最近メディアでも本当によく取り上げられるようになって、一見追い風が吹いているように見えますが、実態は衰退のスピードが速く、20年も経てば消滅してしまう産地がいくつもあると思っています。そのぐらい状況は深刻です。
「産地の祭典」の会場となる三条ものづくり学校 Photo:Ooki Jingu
山田:店の現場にいると、いくら日本の職人が丁寧に作ったものでも「値段が高いね」の一言で一蹴される場面に何度も遭遇します。
燕三条 工場の祭典に足を運んでくれる方々が本当にありがたいのは、手間暇をかけて作っているプロセスをみると、「これだけ手をかけて作っていてこの値段は安いね」とみなさんが言ってくれることです。プロセスが伝わらないと、単純に値段だけで判断されてしまいます。
モノづくりを継承していくには、普段僕らが使っているモノがどうやって作られているか、それをお客さまに知っていただくことが何より大事だと思います。
(インタビュー・文/城市奈那)
■取材対象者プロフィール
東京都出身。南青山のIDÉE SHOPのバイヤーを経て、2007年、method(メソッド)を立ち上げ、フリーランスのバイヤーとして活動を始める。現在、株式会社メソッド代表取締役。
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