「店を通じて何を成し遂げたいか」モノを売るために必要なコンセプト作り  メソッド・山田遊さんインタビュー(前編)

山田遊株式会社メソッド 代表取締役

国立新美術館のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」。古いものと新しいもの、エレガントなものとジャンクなものなど、あらゆるものが渾然一体となっている街・東京を、編集によって鮮やかに体現。一般的なミュージアムショップでは売られていないようなグッズも取り扱っている

 包丁やカトラリー、工具など金属加工品の産地である燕三条(新潟県)で、モノづくりの現場である工場を開放する「燕三条 工場の祭典」が人気を集めています。このイベントの監修を担っているのが、ショップのディレクションなどを行っている株式会社メソッドです。バイヤーとしてモノにまつわる仕事に長年携わってきた代表の山田遊さんに、モノを売るために大切なコンセプト作りや見せ方、「燕三条 工場の祭典」の誕生経緯について話をうかがいました(全2回)。

 (株)メソッド代表の山田遊さん
メソッド代表の山田遊さん

「売れない時代」になり新しい業態に挑戦し始めた小売業界 

――メソッドではコンビニから百貨店店舗の監修まで幅広い業態の店舗販売に関われています。最近では「燕三条 工場の祭典」のイベント監修もされていますが、どのような仕事をメインとなっているのでしょうか。

山田:うちの仕事は一般的には分かりにくいかもしれません。モノを選ぶ、作るといった仕事、新店舗の立ち上げなどが主な事業です。

 元々、南青山のIDÉE SHOPでバイヤーをしていて、2007年に独立し、メソッドを立ち上げました。

 小売業って意外と未来が描きにくい業界だと思っていて、独立しても、自分のお店を持つぐらいしか道が開けません。僕は自分で店を持つイメージも持てなかったし、会社員の立場でバイヤーを続けていく気もなかった。なので、企業や事業者に依頼される形で、フリーランスのバイヤーをやろうと思いつきました。

 独立当初は、そんなフリーのバイヤーの仕事をベースに考えていたのですが、2009年にリーマンショックが起こり、「モノの売れない時代」になりました。小売業でも「このままではいけない」「何か新しいことをしなければ」という危機感が生まれていました。

 会社の中にいると、日々の業務に忙殺されたり、いつもの仕事の延長でしか考えられなくなって、意外と新しいアイデアが出なかったりします。逆に僕のようにフリーの立場だと、色々な業態の仕事もできるし、そもそも客観視ができる。リーマンショックによって小売業で「新しい業態の店を作ろう」という気運が高まったことは、独立したばかりの僕にとってはタイミングが良かったと思います。

――家具やインテリア、雑貨の分野でバイヤーをしていたことも良かったのでしょうか。最近はファッション系の店でライフスタイル系商品を扱うことが増えてきました。

山田:以前は、物販は食と切り離されていましたが、雑貨とともに食品も扱うことは今や当たり前になりました。
 ライフスタイルという言葉が注目されているとも言えますが、裏を返せば、単に服が売れなくなったとも言えます。
 その結果、人々の意識がより生活に向くようになり、そのためにライフスタイルという言葉をキーワードとして標榜することになったのかもしれません。

 僕自身の軸足は元々インテリアやデザインの世界にありますが、その世界から離れたくないと思うタイプではなくて、今まで触れたことがない世界に強い好奇心を持っています。

 最近はデザイナーと組んでよく食品の仕事もしていますが、今まではどうしても味が重視されてきた分、パッケージデザインなど、まだまだできることがあるなと感じています。

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