海友舎を使いながら残そう! 保全・活用しながら地域の交流拠点として再生、観光資源としての魅力を創出する「ぐるぐる海友舎プロジェクト」

人を受け入れてきたおおらかな建物だから「わくわく」が実現できる

海友舎を使いながら残そう!
手芸が好き、あるいはとにかく自分で何か作ることが好きな人は年齢、性別を問わず誰でも参加できる「手芸部」

 「ぐるぐる」「こつこつ」が活動のあり方であるとするならば、どんな活動をしたいのか、ここをどんな場所にしたいのかを示したのが「わくわく」である。この「わくわく」とは一体どういうことなのだろうか。

岡本:この活動をしていくなかで、参画してくれた人たちには主体的に関わってもらい、ここでそれぞれやりたいことを実現してほしいと思っています。つまりここを「わくわく」する場所にしてほしいと。例えば手芸が得意な人は手芸部を立ち上げて、エコたわしを作りました。ほかにもカレーを作りたいという人がいたので、材料代を出し合って活動日に作って食べています。私は関連のトークショーを実現しました。

 それらができるのも実はこの建物の魅力。建築家の先生が「この建物にはおおらかさがあってそこに魅かれる」とよく言っています。海軍の建物として建てられ、洋裁教室、会社といろんな人を受け入れてきた歴史があると。今、自分たちがここでこの活動ができるのも建物のおおらかさがあるからだと思うので、それを大切にしていきたいですね。

 建物の保存活用の活動というと、得てして堅苦しいイメージを抱きがちだが、ぐるぐる海友舎は違う。目的に賛同する人たちが維持補修も含めて交流しながら、この建物の持つおおらかさそのままに、何かを作り出したり始めたりする「わくわく」できる場所を目指している。それによりさらに魅力が増し、多くの人が集まり交流が生まれ、地域活性化へとつながっていくのである。

 かつて解体の危機にあった海友舎は、地元の人に愛され、「次に何かしないの?」と言って期待される、地域コミュニティの拠点となった。観光客が建物見学やイベント参加に訪れるなど、新たな観光資源としても認識されつつある(見学のみは開館日に要予約)。

 メンバーも大学の先生、デザイナー、電気店、建設業、大学生など、多彩な顔ぶれがそろっており、今後の活動の発展も期待されている。

「ぐるぐる海友舎プロジェクト」は今後、どのような活動を展開しようとしているのだろうか。

南川:この5年間でも周囲の古い建物がいくつか取り壊されました。建物が一つなくなると景観も変わります。今の時代、作り物は心に響きません。これからも今あるものをさらに磨き上げて、周りに合わせた魅力づくりにも取り組んでいきたいですね。また、兵学校にいた生徒は町の人との交流を持っていたらしいので、そうした文化も含めて発信し、江田島をもっと知ってもらい、滞在してもらうきっかけにつなげたいと思います。

さらに多くの人々の巻き込みながら、海友舎を拠点に江田島の文化や歴史を掘り起こし、魅力的な町づくりを進めていくに違いない。

(取材・文/川西由香理)

リンク:ぐるぐる海友舎プロジェクト 

取材対象者プロフィール

ぐるぐる海友舎プロジェクト

ぐるぐる海友舎プロジェクト

2012年10月、空き家になっていた旧江田島海軍下士卒集会所を残そうと設立した市民ボランティア組織。以後、掃除や片づけ、見学会、イベントなどを行っている。代表は南川智子さん。副代表は岡本礼教さん

ライタープロフィール

川西由香理

川西由香理

ライター。株式会社よつば編集広告事務所

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