地域との連携で見えてくること ~学生の現地学習を通して~

山田浩久山形大学人文学部 教授

2017.02.14山形県

面白かったのに分からなかったのはなぜか

地域との連携で見えてくること
2015年度の現地報告会。上山らしさとは何かといった議論が展開された

 僕が案内した中国人の留学生は、観光施設にある中国語で書かれた案内板を見て、これでは意味が通じないと言っていました。学生が作った観光プランのウリを理解してもらえなかった最大の原因も、語学的な問題に起因していると考えられますが、彼らの感想を詳しく聞くと、仮に言語的な問題をクリアできたとしても、学生が当初に立てた観光プランでは外国人を上山に引き込むことは難しいことが分かりました。

 基本的に、その土地でしか見られない珍しいものが観光資源として認知されていきますが、彼らは、特段日本の文化や風習に詳しいわけではないので、いきなり上山の観光資源を見せられたり、説明されたりしても、その面白さを理解しにくいようです。つまり、彼らは、上山の観光資源を案内されても、それを通して「日本」を見ようとするので、日本の他の観光地と比べてここが独特だというような案内をされても「分からない」という感想に落ち着いてしまうと考えられます。

 学生も観光資源に対する外国人のこうした見方がインバウンド観光の特徴であることを理解したようです。そのため、観光プランは、上山の史跡や名産品を活用して「日本」を理解してもらうようなものに修正されました。また、住民と会話する機会を増やし「日本人」との接触をウリにするようなプランも生まれました。観光学のテキストでは国内観光とインバウンド観光の差異が当然のことのように記されていますが、学生が現地学習を通して、それを自分たちで考えついた点は非常に大きな成果であったと思います。

 修正された学生のプランを2015年度の現地報告会で公表したところ、行政、観光関連事業者からは、上山らしさが足りないという意見が出され、それをきっかけに、上山らしさとは何かといった議論が展開されました。一方で、北日本全般の観光資源ともいえる「雪」に着目した観光プランに関しては、観光というよりも冬季における住民の日常を体験させる方が良いという意見が出され、インバウンド観光の特異性がある程度は認知されていることも確認されました。いずれにせよ、個々の旅館の経営努力による観光客の取り込みに限界が生じ、今後の方向性を模索中である上山市に学生の活動が刺激を与えたことは明らかで、それだけをとってみても価値のある活動ではなかったかと思っています。

地域との連携で見えてくること
学生の活動が新聞に地元の新聞にも取り上げられた(山形新聞2016年2月5日)

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