観光振興のためのデータ整備について

古屋秀樹東洋大学国際地域学部国際観光学科教授

2013.02.16

観光地の体制づくりと合意形成の支援

 観光による地域振興への大きな期待が続いている。地域の成長が見えづらい現在、伸び代として「観光」が着目されるが、そのために観光地側の組織体制の見直しと観光行動への深い理解が重要と考えられる。

 まず観光地側では、観光地自体の「公共財」としての特性を取り上げてみたい。

 この「公共財」であるが、一般的な観光地は対価を支払わない来訪者の排除が困難であり、新たに来訪者が加わったとしても、他の来訪者の効用が大きく低減しないという特性をもつ。私的財である「パン」と比べると、無料でパンを食べることは不可能であるし、他者がパンを食べれば自らはありつけないが、観光地では多くの人が空間を共有することができる。

 そのため、観光振興に取り組む主体はそれ相応の対価を来訪者から得ることが難しくなり、積極的な取り組みへのインセンティブが働きにくい。

 この改善策として、利用者を限定的にする仕掛けや振興にむけて努力した人に恩恵・収益還元が適切になされる体制づくりが重要といえる。

 さらには、多様な主体で構成される地域社会ならではの合意形成の難しさというハードルを超えるために関係主体間での目標共有が必要不可欠である。

 そのためには、現状をチェックし、観光がもつ地域振興へのポテンシャル、地域への経済的効果を確認できるようなデータ収集をはじめとする環境整備を行い、観光振興に向けた合意形成の支援が重要といえる。

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