観光振興のためのデータ整備について

古屋秀樹東洋大学国際地域学部国際観光学科教授

2013.02.16

観光者の嗜好把握の有益性

 一方、観光者側に着目すると、観光行動固有の特徴として「不確実性、情報の不完全性」がある。

 旅行頻度が少ないため、現地での行動や評価は観光客自らの「主観」が大きな役割を果たす。何があるのか、そこでは何が出来るのか予想しながら、自らの「主観」によって目的地を選択し、観光者は時間を消費している。

 この観光行動は観光者の性別や年齢階層等によっても違うが、最近のデータから宿泊旅行に行く回数は年齢と相関が強いものの、旅の好みについては年齢よりもライフスタイル・個人の嗜好が大きく影響していることがわかってきた。このライフスタイル・嗜好と旅行・観光との関連については、十分な蓄積がないために、今後はその知見を蓄積しながら、実際の現場に適用していく必要がある。

 観光者の嗜好について考えると、「観光現象」自体は時とともに変化し、B級グルメやアウトレットといった日常の消費行動の一部が変質しながら新たな観光マーケットが確立している。

 これは、従来からの気晴らしや自己実現といった観光行動に対して新機軸といえ、社会的に「観光行動」がどう価値付けされ、特定のスタイルとして評価されステータスを持つか、という新たな価値付けや観光者の嗜好の変化をも引き起こす。

 これがストーリーとして確立すると、それ自体がその地域のブランドとなり、観光者にとって、「今そこに行く価値がある」という認識醸成や行動発現へ背中を押すことになる。

 そういった意味で、観光振興を実現するために,地域の経済状況や観光者の嗜好把握のためのデータは有益であるとともに、多くの関係主体にとって有用であるため、ソフト・インフラとしてより一層充実する必要があるといえる。

著者プロフィール

古屋秀樹

古屋秀樹東洋大学国際地域学部国際観光学科教授

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