身近なものからものがたりを探す、歩く、かたる、活かす ―近代化遺産と観光とを結びつける、北九州地域のいくつかの試み―
おわりに~地域と近代化遺産との新たな関係づくり~
ビール工場を改修したカフェ「Cafe de brique」(門司赤煉瓦プレイス、北九州市門司区)
世界遺産に登録されたとはいえ、製鐵所の構内は市民にとってそれほどに親しいところとは言えない。より身近な存在としての近代化遺産は、たとえばビール工場を活用したカフェ、海運会社のビルに入居した小物店など市内の各所に見ることができる。
今回の世界遺産登録を機会に、製鐵所が地域とともに築き上げた、まちの賑わいとそれを伝える身近な遺産を紹介していく取り組みが求められている。
きっかけは製鐵所の夜景を見るツアーや世界遺産めぐり、門司港レトロ地区のお店めぐりなど多種多様になるだろう。
ひとつのきっかけから地域の魅力をどれだけわかりやすく、親しみやすく紹介できるか、試行錯誤の取り組みはこれからも続いていく。
■著者プロフィール
九州大学大学院博士後期課程修了、博士(工学)。九州大学大学文書館、九州産業大学景観研究センター勤務を経て現職。
大学学部生の頃より近代建築を中心とした近代化遺産・産業遺産の研究活動を続け、近年では北九州地域における産業観光活性化や文化資源の利活用、大学文書館資料などに代表される建築アーカイブ・大学史にも研究分野を広げ活動を行っている。
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