岩手県洋野町でのウニのカラ剥き体験実施から見えてきたこと

久宗航太上智大学観光研究会会長

2016.10.21岩手県

県内で一番甘いウニを最大限活用

岩手県洋野町でのウニのカラ剥き体験実施から見えてきたこと
洋野町のウニはまるまるとして旨み甘みがたっぷり

 私は2005年から2年間、洋野町(当時は種市町)近くの八戸市に住んでいた。当時、よく洋野町にも遊びに行っていた。その後、東日本大震災が起こり、八戸市や洋野町周辺の北三陸地方も大きな被害を受けた。私は心を痛め、何か東北の役に立つことをしたいと模索しているうちに、漁業関係者から「洋野町ではウニの漁獲高は震災前からほぼ回復したが、ウニのカラの剥き手がいない」という課題を聞いた。また、東北では観光客数が未だ回復していないことも知った。そこで逆転の発想を行い、現在人気が高まりつつある体験型観光でウニを観光客に剥いてもらえば被災地支援になり、お世話になった北三陸に恩返しができるのではと考えた。そして、ブランドにはなっていないが「県内で1番甘いウニ」と、課題であった「被災地支援」というキーワードで他との差別化を図った。

思いやりと成功させる信念がカギ

 産官学連携で最も苦労した点は、このプロジェクトに対する意欲の温度差があったことである。変化することをあまり望ましいと思わない人はどの地域でもいると思うが、その人も巻き込んで、同じ方向に向いてもらえるように働きかけることが産官学連携のカギであろう。

 産官学連携で必要なことは、お互いを思いやることと、成功させるという信念だと考えている。年齢や生い立ちも違う関係者が集まって行う中で、お互いを思いやることは、とても重要である。大なり小なりあつれきが生まれるのはやむを得ないことであるが、小異を捨てて、譲り合うということが必要である。

 また、成功させるという信念がなければ、活動的に動くことは難しい。これはどの政策、イベントでも当てはまるであろう。今回、私が調整役を務めた経験から、さまざまな関係者と調整しながら、内部とも調整する必要があるため簡単とは言えないが、この二つの考えを持って行動すれば、誠意は通じるのではないかと考える。

 私は今までイベントを企画、運営するという経験がなかったため、周囲には「本当に成功するのか」と疑問視する人が多かった。また、観光研究会の部員の中でも、現地の関係者間でも意欲の温度差があることを知り、不安になっている者もいた。しかし、綿密なやりとりを重ね、社会人の知り合いと意見交換をする中で、実現可能性を高めていき、次第に関係者も「ウニのカラ剥き体験」に対して意欲を示してきた。

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