観光で農業を、まちじゅうを活性化する 　　　宮城県丸森町　丸森型グリーン・ツーリズム

「食」と「人」で記憶に残る時間を

　今月には2度目の移住促進ツアーが予定されている。丸森町が今年度オープンさせた起業支援拠点「丸森CULASTA」や町子育て定住促進課とコラボした、起業研修を中心とするツアーで、初の東京発着だ。
　また、早川さんは廃校になった分校にある桜に注目し、駅からウォーキングして、数カ所で花見をするツアーの構想を練っている。
　二人の今後の構想は、具体的なツアー企画にとどまらない。

加藤：
「川でスイカを冷やして割って食べるなど、ささいなことでも、強烈な一場面を記憶に残したいです」

早川：
「道端の草花を摘んで天ぷらにして食べるような、懐かしさや新鮮味があり、どこでもできるけれどやらないことをしたいと思います。
　丸森の「人」のファンづくりをしたいし、リピーターの人たちを裏切らないツアーを行いたいです。結局一番印象に残るのは、食べ物と、人とのふれあいです。丸森にはおいしいものがあるし、“おいしい”人たちもいっぱいいます。そのごちそうを、うまく調理してお出しできればと思います」

　「百目木ガーデン＆百花fe」や直売所「あがらいん伊達屋」で、二人は大歓迎されていた。二人が町でよい関係を築きながらコンテンツを磨いてきたことがよくわかる。DMOの基本形が見えた。

　移住者の義高さんも、取材中に出会った千葉県出身の復興支援員の小笠原さんも、丸森の一番の魅力を「人」だと答えた。「人」の魅力を伝えることで、より多彩なツアーができそうだ。

　こうした取り組みの背景には「誰のために、なぜ観光に取り組むのか」という考えがある。自分の地域ではなぜ観光振興に取り組むのか。自分たちはどんな役割を担うのか。明確に説明できれば、より力強く事業を推進できるようになるだろう。

（取材・文／青木　遥）

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