主事から副町長へ、吉弘拓生さんの仕事のしかた(後編)群馬県下仁田町 「やりたい」を後押しする「現場スピリット」

吉弘拓生下仁田町副町長

2016.10.04群馬県

「企業連携」と「人財育成」

  吉弘さんが考える町政のキーワードの一つが「企業連携」だ。例えば、体重計などのメーカー、タニタと連携した「タニタ健康プログラム」を行っている。町民から募集したモニターに活動量計を身に着けてもらい、さらに定期的に保健センターで体組成測定を行って、健康に関する数値の見える化を図る。高齢化が進む中、高齢者の健康は財政面からも重要だ。「楽しく健康になってもらえるように」と吉弘さんは話す。他にも、企業と連携して教育環境を整えるプロジェクトなどが進んでいる。

 もう一つのキーワードが「人財育成」だ。町では昨年10月から「地域づくり人財育成支援事業」がスタートした。これは、(一財)地域活性化センターが主催する東京などでの研修会をはじめ、国内先進地への研修派遣・参加など、地域づくりの勉強会等の参加にかかる旅費や参加負担金を町が助成する、全国でも珍しい制度だ。対象は町民や町内で活動する団体で、国や県などの主催する研修事業の場合は全額助成、自主的な計画によるものは上限10万円。参加者は、受講後に新たな地域づくりの取り組みを開催、提案することとしている。

吉弘:東京ではいろいろな団体が研修会、勉強会などをやっています。九州や北海道から手弁当で来る人も珍しくありませんが、下仁田は東京が近いわりに、外に出ない雰囲気があります。
 次の世代を担う人たちの人財育成という意味で、外でどんなことをやっているか見て、それを町に持って帰ってきてもらいたいのです。いろいろな業界の方がこの制度を使われています。外ではこうやっている、下仁田ならこれができる、という成果が少しずつ出始めているところです。
 町外に行ってみることは、私はとても大事だと思います。単に外のものを持ってきてもなかなか地域になじみませんが、一方でどう化学反応を起こすかはやってみないとわかりません。外で地元の方が学び、盗んできたものを、工夫して地域に根差したものにしていくという風土をつくっていかなければならないと思います。

1 2 3 4

スポンサードリンク