観光による地域活性化と「時間空間一致の法則」
「法則」の実践
(1)「音楽」・・・ばらばらにやっていた演奏を一度に1カ所にまとめ回遊できるようにする
アメリカの「サウスバイサウスウエスト」や大阪市・堀江の「ミナミ・ホイール」(塩沢・小長谷編(2008)の大島論文)、大阪市北区の「天満音楽祭」(塩沢・小長谷編(2009)の海家論文)、高槻市の「高槻ジャズストリート」(塩沢・小長谷編(2009)の乗友論文)。
(2)「博物的小物」・・・古い町並みで骨董的なものを町衆が一日館長で披露する
三重県・伊賀市などの「町ごと博物館」や大阪市・平野郷の「町ぐるみ博物館」(塩沢・小長谷編(2008)の乾論文)。
(3)「食」・・・多様な飲食を楽しむ
いま日本中で大流行しているバルのシステムがこれにあたる(電子ジャーナル『創造都市研究e』の真鍋論文(2013))。バルは、飲食量=参加費は通常の飲み代とそれほど違わない。参加者にとって有利なのは1軒でなく5軒もの店の多様性を楽しめること(上記真鍋(2013))。このような食の同時多発的イベントも「時間空間一致の法則」である。
よく観光の教科書で「地域資源発掘」の大切さは説かれているが、「地域資源」は発掘時点では多様であり、バラバラである。これはいわば食材発掘の段階にあたり、発見するだけでは十分でない。
それをアレンジし、料理する「回遊設計」が大事になる。それが「時間空間一致の法則」なのである。したがって、地域づくり・まちづくり手法としては、
【(1)地域資源発掘 → (2)時間空間一致の法則 → (3)集客効果の最大化】
といえる。「街中の資源をそのまま利用し、時間・空間を一致させてイベントにする」という原理である。
【参考文献】
小長谷一之・久保秀幸(2009)「個性を活かすまちづくりと創造都市」『まちづくりと創造都市2-地域再生編-』晃洋書房。
小長谷一之・五嶋俊彦・本松豊太・福山直寿(2012)『地域活性化戦略』晃洋書房。
塩沢由典・小長谷一之編(2008)『まちづくりと創造都市-基礎と応用-』晃洋書房。
塩沢由典・小長谷一之編(2009)『まちづくりと創造都市2-地域再生編-』晃洋書房。
電子ジャーナル『創造都市研究e』の各巻。
■著者プロフィール
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