徳島の「マチ★アソビ」で考えたこと

大谷尚之愛媛大学法文学部人文学科准教授

2013.05.16徳島県

イベントの成功と課題

 徳島市は川に囲まれたまちで、ひょうたん島周遊船という川巡りの遊覧船が200円の保険料のみで運航されている。マチ★アソビ期間中は、橋げたの下に掲示されたアニメ作品のタペストリーを船から見上げる「橋の下美術館」というイベントなども開催される。

 こうした特徴を備える一方で、スタートから3年が経過し、いくつかの課題が見えてきているかもしれない。私の思い付くところを挙げてみたい。

 まずは、地元の草の根的な動きをどう支援していくかである。マチ★アソビは、近藤社長をはじめとしたプロフェッショナルな集団が主導する形で成功を収めてきた。今後は、持続性や展開性を高めるためにも、地域内で核となる人材を増やすことが重要になる。

 また、イベントの参加者を、マチ★アソビというイベントのファンから徳島という地域のファンにつなげていく仕組みをどうやって構築するか。これは決して簡単なことではない。しかしながら、通常モードではいささか元気のない徳島の中心市街地が活気を取り戻すためには必要なことだと思う。

 もちろん、これらはマチ★アソビの方向性が間違っているということではなく、次のステップを考えるほどに成功を収めたということである。

 アニメ・マンガを活用した地域おこしには安易な便乗組も多く、今後、淘汰が進むことは間違いないが、マチ★アソビは地域とファンをつなぐ仕組みとして進化し続けて欲しい。

著者プロフィール

大谷尚之

大谷尚之愛媛大学法文学部人文学科准教授

1 2

スポンサードリンク