買ってもらえるお土産品のデザイン
1.ワンコインで買いやすく
越中富山 幸のこわけ
「越中富山 幸のこわけ」シリーズ
「越中富山 幸のこわけ」シリーズは、富山県総合デザインセンターが中心となって取り組んできた「越中富山お土産プロジェクト」から生まれた商品である。富山県で引き出物として用いられる「鯛の細工かまぼこ」や、北前船交易を背景に広まった「北前昆布」、おむすびにつける「とろろ」など、地域独自の風習や食文化を伝える商品群となっている。
特徴となっているのは、特定のメーカーだけで出しているわけではなく、いくつかのメーカーの商品を統一したパッケージデザインで展開している点だ。現在、県内の食品メーカー26社が参画し、28商品を展開することで、富山県全体の食文化のプレゼンテーションになっている。
ポイントは、500円前後の安い価格と量にとどめている点である。とりわけ海産物のお土産は、1,000円前後で大量に入った商品が多い。昔と比べ家族の構成人数が少ない現代では少量の方がいい場合も多い。また、職場などで渡すことを考えると安価で、小分けされた商品の方が買いやすい。
500円程度の商品の方がお土産には買いやすい
こうしたワンコインで買える商品をつくる手法は、デパ地下などで以前から行われてきた。1,000~3,000円のお菓子が並ぶショーケースの上に陳列された500円程度の小さな菓子は、「ちょっと買ってみよう」という衝動的な“ついで買い”を促すものである。
売る側からすると量が多く高価格の方が利益を出しやすい。しかし、今はネットの直販サイトも充実しているため、まずは少量でも手にとってもらい、次の購入につなげるという発想の方が、チャンスが広がるだろう。
上森米穀店「きゅーと米」シリーズ
上森米穀店「きゅーと米」シリーズ
米の粒々が外見からもわかる
「きゅーと米」は、「ななつぼし」「ゆめぴりか」などの北海道のブランド米や、「焼肉用」「手巻き寿司用」など用途別にブレンドした米を2合分、立方体状に真空パックしたものである。高価なブランド米も2合だと500~700円と買いやすい価格になる。2合は試食にピッタリであり、一人暮らしの知人へのお土産としても適切な量だ。
米をお土産品にする発想は今まであまりなく、見た瞬間に伝わる斬新さがある。また、デザインのバランス感覚もいい。真空パックされた本体部分は半透明で中身が見えており、商品の正直さが伝わる。
一方、ラベルはモダンなデザインで、上手く組み合わされている。これが半透明のフィルムではなく箱に入っていたら、まったく違う印象を与えただろう。
赤福「銘々箱」
赤福の「銘々箱」
赤福餅はいわずと知れた伊勢の名物であるが、折箱(8個・12個・20個入り)とは別に、とり分けやすくした2個入りの「銘々箱」も展開している。銘々箱を詰め合わせて、贈答用にすることも可能である。
折り重なるふたをつまんで引きあげると、箱が大きく開き、そのまま食べられるようになっている。赤福餅は非常に人気のお土産品であるが、一人暮らしの人に渡すには、折箱では量が多い。赤福のような老舗企業でも、個食対応で商品を展開している点は注目される。
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