買ってもらえるお土産品のデザイン

福井政弘パッケージデザイナー 武蔵野美術大学通信教育課程講師

ライフスタイルの変化に伴い、お土産品も変化

しまんと地栗 渋皮煮「越中富山 幸のこわけ」シリーズ「funaba farm saved vegetable」ピクルス赤福の「銘々箱」

 旅先の思い出やその土地の文化を伝えるツールとして欠かせないお土産。思わず手に取りたくなるようなお土産のデザインの秘訣は何か。パッケージデザイナーの福井政弘さんに話をうかがいました。

 お土産品のパッケージデザインは、新商品と既存商品のリニューアルではデザインのプロセスが変わってくる。売り上げが芳しくない既存商品のリニューアルにおいて、安易にパッケージのグラフィックデザインを変えるだけで売れる商品にすることは難しく、量や容器、形状や素材など構造デザインまで考えることが必要になる。

 その背景にあるのは、ターゲットとなる層の家族構成やライフスタイルの変化がある。お土産品は贈答品として購入されることが多い。その場合、価格や中身だけではなく、渡す相手の家族構成や趣味、持ち帰りやすさなども考慮する必要がある。

 例えば、学生が修学旅行でお土産として買うお菓子は、安価で平たく大きな箱にたくさん中身が入った従来商品のニーズがまだまだ高いであろう。その一方、これから観光の大きなターゲット層となる60歳以上のシニア層は目が肥えているため、地場で生産・加工した“本物志向”のものが好まれる。また、子どもが独立した後のシニア層の家庭では大量にもらっても消費できないという面もあり、量や形状からお土産品を考えることはより重要になってきている。

 ここでは、そうしたパッケージデザインの視点から、優れたお土産品をいくつか紹介したい。

1 2 3 4 5

スポンサードリンク