スポーツツーリズムとスポーツコミッション

林恒宏札幌国際大学スポーツ人間学部スポーツビジネス学科講師

2013.11.16埼玉県

スポーツコミッションの役割

 先日、さいたま市で「ツール・ド・フランス」の名を冠したクリテリウム・レース()が開催された。

 このイベントをはじめ、さいたま市では「みる」「する」「支える」といった観点でのスポーツイベントの誘致を精力的に行っている。その中心となる団体が「さいたまスポーツコミッション」である。現在、スポーツコミッションはさいたま市をはじめ佐賀県、志摩市、新潟市などで設立され、沖縄県でも平成27年4月の設立を目指すなど全国で立ち上げの動きが広がっている。

 スポーツコミッションとは、地域にあるスポーツ資源や特徴ある観光資源を最大限活用し、各種競技大会等スポーツ関連イベントの誘致に向け、宿泊・交通の手配などさまざまな企画・運営の支援を行うとともに、地域スポーツの振興と地域経済の活性化を図ることを目的に組織された団体である。

 つまり、スポーツに関わるイベント・観光をワンストップで全国、全世界に提案・案内できる団体である。

 スポーツのイベントを開催することで、遠方から来る客の宿泊費や交通費、宿泊費やお土産代などさまざまなお金が開催地に落ちる。それが地元経済に貢献するということだ。

 例えば子どもたちの各種スポーツ大会や成人・シニア層をターゲットとした生涯スポーツ的なイベントからJリーグやプロ野球、レベルの高い競技会などトップスポーツまで、「する」ためや「みる」ため、あるいはボランティアとして「支える」ためなどで同地に赴き、滞在し、お金を落とすのである。

スポーツをいかに利用するか

 また、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることで、世界に東京・日本をPRすることにつながり、先に挙げた経済効果以上の可能性を秘めている。

 これまでスポーツは日本では主に「体育」として扱われ、国の機関では文部科学省の所掌、つまり教育の一環として捉えられてきた。しかし、2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まると、スポーツを複合的に支援・活用するための「スポーツ庁」設立の動きが出てきた。

 このように、これからはスポーツをいかに利用し、地元経済の活性化、観光客の誘客に利用するか、地方都市それぞれのビジョンとアクションに関わっている。

 そのためにも行政・商工業団体は地元住民のスポーツ環境の充実を図ることも然ることながら、いかにスポーツを利用して地元以外から誘客し、地元にお金を落とさせるかといった野心的な取り組みが求められる。

 今後は関係各位のスポーツコミッション設立への動きに期待したい。

※他の交通を遮断して街中に作られた短いコースを何度も周回する自転車ロードレースのこと。通常のロードレースと違い、観客の前を選手が複数回通過し何度も応援できるのが特徴。平坦で、コーナーがきついコース設定がされることが多い。(引用元:はてなキーワード)

リンク:さいたまスポーツコミッション

著者プロフィール

林恒宏

林恒宏札幌国際大学スポーツ人間学部スポーツビジネス学科講師

スポンサードリンク