薬師湯代表・内藤陽子さんに聞く、温泉津温泉のヘルスツーリズム
ヘルスツーリズムでより健康に
湯の効能について調べていた内藤さんだが、さらに別のものを組み合わせることで、より健康になってもらえるのではないかと考えるようになった。
内藤:運動したり、今はストレスの時代だから“本物”の中でヘルシーな食事をしたり、リラックスしたりすることが健康にいいとわかってきました。それで注目したのがヘルスツーリズムです。
内藤家の先祖は温泉津奉行で、代々まちの経済や将来を考えてきたので、まちを将来につなげるためにどうするかという考えも無意識のうちにあったかもしれません。将来につなげるためには、お客様に来ていただいて、地域の人も楽しみながら守れる方法が必要だろうなと考えました。
最初は薬師湯で月1回、温泉の入り方や温泉の活用法などについて健康講座を開きました。その延長で始まったのがノルディックウォークです。
運動が健康にいいとわかったときに、温泉津のまちには起伏があることに気付きました。私自身も、東京にいたときはよく歩いていましたが、ここでは電車の本数も少なく、車を使うのでドアツードアの生活になっていました。そしていざ歩こうとすると、坂道が多いのできついのです。そんなときにノルディックウォークがいいと知り、勉強して指導員の資格を取りました。
温泉津の起伏を生かしノルディックウォークを取り入れた
ノルディックウォークは2本のポールを両手に持って行うウォーキングだ。
内藤:足腰が悪い人のリハビリにも使えるし、ご自分で立ち上がるのが難しい方も、ポールがあると安定するので呼吸がしやすく、視線も上がります。
最初はいつも同じコースでしたが、途中でお昼を食べたり、普段2~3kmのところを4~5kmにしたりと少し変えてやってみると、新聞に取り上げてもらえたりと、だんだん広まっていきました。
温泉津温泉全体でも、石見銀山や出雲大社を訪れる前後に一泊する客は増えていても、湯治を目的に数日滞在する客は減っていた。ヘルスツーリズムは、温泉津に滞在してもらうために重要な取り組みでもあった。
こうした動きに大田市も着目した。今年2月、温泉津ヘルスツーリズム協議会が立ち上げられ、内藤さんはその会長となった。市内の他の三つの地域でもヘルスツーリズム協議会を設立。6月には大田市が全国クアオルト協議会に加入し、市全体での推進を図る大田市クアオルト協議会も設立されて、内藤さんはこの会長も務めることになった。
日曜と水曜に実施する「早朝ウォーク」
現在温泉津では、毎週日曜と水曜に、朝6時50分から「早朝ウォーク」を行っている。参加無料で、宿泊客、温泉津近郊の人、地元の人たちが参加している。また月1回「健康ウォーク」も行っている。これは毎回のテーマに沿って異なるコースを歩くもので、昼食やタラソテラピー、森林浴なども含めたプログラムが組まれている。
海水を使った自然療法「タラソテラピー」
内藤:私たちは歩く前後に血圧を測ったり、唾液でストレスを測ったりしています。ビフォーとアフターを比べると、少し歩いただけで血圧が下がるし、気分が落ち着いてストレス度が下がる。そういうことを数値で実感していただくと、ご自宅に戻られたときにライフスタイルが変わります。専門用語で「行動変容」といいますが、そのきっかけになればいいなと思っています。
将来的には滞在型として2、3泊していただいて、プログラム数を多く、時間を長くすれば、よりストレス解消になると思います。ダイエットや糖尿病対策コースができるような体制にしてもいいですね。夜も寝るだけではなく、神楽などちょっとした楽しみがあるようにしたいと思います。
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