クラフトめぐりからまちづくりへ 高岡クラフト市場街実行委員長松原博さんに聞く
高岡のブランド価値を高める
富山大芸術文化学部学生による「市場街コンシェルジュ」
こうした活動で「高岡のブランド価値を高めていきたい」と松原さんは話す。そのために今年は企画の質を高めることを重視した。
富山大芸術文化学部学生による「市場街コンシェルジュ」は昨年から始まったが、今年は事前に観光ボランティアガイド団体からまちの案内、マナー講師から「まずは笑顔」など接遇のポイントを教わり、好評につながった。
松原:体験や販売などを通して人と話し、来てよかったという満足感や笑顔につながるといいと思います。
作家と話しながら錫のお香立てづくり体験
自治会や住民との連携はこれからだ。旧市街地エリアには仕事を引退した人や郊外の企業に通う人などが住み、自分たちのまちに観光で人が入り込むことに抵抗のある人も多いという。
松原:一方で、30代後半から40代で動き始めている人もいます。市場街実行委員会でも約30人の大半がこの年代です。これから高岡を背負う人たちがどう考え、自分たちのまちをどう作っていくかがキーになると思います。
山町筋にあるクラフトのショップ、体験工房等の「はんぶんこ」代表も実行委員会の一員
クラフト展では高い技術を楽しみ、まちには買う楽しみがある。市場街のイベントの連携による盛り上がりが、クラフト展の来場者層を広げ、販路拡大につながり、高岡のものづくりに活気を与えている。また市場街は、ものづくりという高岡のブランドを市内外に発信している。さらに訪問客の拡大だけでなく、まち全体の活性化を目指している。産業観光がまちに広く影響を与える可能性を市場街は提示している。
これは観光まちづくりともいえるが、観光を中心にまちづくりを進めることについて、市民の意識はまだまとまっていないようだ。市民が本当に望むことをワークショップなども交えて考えられるといいが、そのまち固有の事情もあると推測され、簡単なことではない。こうしたとき、普段から自治会とやりとりがある市が調整の橋渡しをすることはできないだろうか。市場街には市からも補助金が出ているそうだが、運営の厳しい状況もある中、行政の立場を生かした後方支援も検討できないだろうか。
(インタビュー・文/青木 遥)
リンク:高岡クラフト市場街
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