クラフトめぐりからまちづくりへ 高岡クラフト市場街実行委員長松原博さんに聞く
工芸都市高岡クラフト展
10月最初の週末、富山県高岡市旧市街地のあちこちに白いのぼりが立った。「高岡クラフト市場街(いちばまち)」(以下市場街)は、「工芸都市高岡クラフト展」を中心に、さまざまな企画を同時に連携して行うイベントだ。
昭和61年(1986)から続く「工芸都市高岡クラフト展」は、手工芸作品の技術などを競う「工芸都市高岡クラフトコンペティション」で入選した作品を展示する。市場街ではこの他、富山大学芸術文化学部学生が高岡の伝統工芸職人とコラボする「クリエイ党」展、クラフト作家の作品展示が市内の工房やギャラリーなどで開かれた。さらに、作家から直接クラフトを買える「クラフトマンズギャザリング!」、工場見学ツアー「高岡クラフツーリズモ」、市内各所でのものづくり体験ワークショップのほか、飲食店でクラフトを器に使う「クラフトの台所」なども行われた。
クラフトマンズギャザリング!
会場は旧市街地一帯に点在する。千本格子の家並みの金屋町、古くからの商人町で土蔵が続く山町筋は重要伝統的建造物群保存地区だ。この日は若い女性やカップル、学生グループなどがマップを片手に歩いていた。富山大芸術文化学部学生による「市場街コンシェルジュ」ブースが5カ所に設けられ、イベント内容や行き方、客に合わせたおすすめの場所などを明るく案内していた。
千本格子の家並みの金屋町
近年、産業観光が注目を浴びているが、産業を中心にしながら、さまざまな企画と一体となってまち全体を盛り上げるイベントは全国でも珍しい。
市場街はどのように始まりどう運営されているのか、そして今後の課題について、高岡クラフト市場街実行委員長の松原博さんに話を伺った。松原さんはもともと自動車メーカーでデザインマネジメントに携わり、その後織物メーカーでもデザインマネジメントに従事した。その経験を買われ、2009年から富山大学芸術文化学部教授を務めた。2014年3月に定年退官したが、在職中の2013年に、地域振興に取り組む一般社団法人CREP4を立ち上げ、現在まで代表理事を務めている。
古くからの商人町で土蔵が続く山町筋
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