観光地じゃないからこそ面白い! ローカルな情報を自分たちで世界に発信する「ウィキペディアタウン」

青木和人オープンデータ京都実践会、Code for 山城代表

2018.10.09京都府

ウィキペディアタウンによる観光・地域振興

観光地じゃないほうが面白い!

 「でも、うちには観光地がなにもないし」。。
 ここまで記事をお読みになられた方から、こんな感想が聞こえてきそうです。

 でも、観光地がなにもないと思ってる地域こそ面白いのです。
 観光地じゃないだけで、ウィキペディアタウンで地域のことを調べてみると、それぞれの地域には、歴史・文化的に貴重な資産がいっぱいあるのです。

 例えば精華町来迎寺のお千代と半兵衛の墓や祝園神社のいごもり祭など、その情報さえ伝われば、そこを訪ねてみたいと思われる方が必ずおられます。
 ただ、それらの情報は旅行会社の商業ベースに載っていないため、観光情報として発信されていないだけなのです。ウィキペディアタウンはそんな埋もれている地域の歴史・文化情報を地域住民自らで発掘・情報発信して、観光につなげる可能性を開くものなのです。

ウィキペディアタウン19(観光Re)

地域住民により、その日のうちに成果ができる

 ウィキペディアタウンの意義は、これまでよく行われてきた「まちあるき」で地域の再発見をするだけでなく、その後、地域住民自らが、地域資料を基にきちんと調査して地域理解を深め、その成果を情報発信する点にあります。

 観光地でない地域では、地域では誰もが知っている寺社仏閣や文化財に関するウィキペディアページがほとんど存在しません。地域住民がその衝撃の事実を知ることで、地域住民のウィキペディア執筆意欲が大いに高まります。

 そして、一日のイベントの最後には自分たちで作成した執筆成果がすぐにウィキペディアに反映され、その日のうちに世界中から自らの地域情報を見てもらえる即効性があります。

古い世代から若い世代への伝承

 南陽高校の事例のように、ウィキペディアタウンで、地域の古い世代から若い世代への地域の歴史、文化が伝承されるコミュニケーションのきっかけになる点も意義深いと考えています。

 そして、若い世代が得意なパソコンで、地域のことを理解して、ウィキペディアに執筆して、多くの方々に伝えてもらう体験をしてもらいます。
 その結果、地域の若い世代による地域の歴史、文化の理解と自分たちによる情報発信で、若い世代の地域への愛着が湧いてきて、地域を誇りに思うシビックプライドが醸成されることが可能となります。

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