連載 小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ  ~ステップ3 ガイドのためのフィールド調査 事前に確認しておきたい4つのポイントとは?~

菊間彰一般社団法人をかしや代表理事

2018.08.27愛媛県

時間を把握する

 2つ目の視点は「時間」です。コースをガイドするのにどのくらいの時間がかかるのか? を確認します。下見で自分一人や少人数で歩いている時と、本番でお客さんを連れて歩く時ではだいぶ時間が異なります。人数が多ければ当然その分時間がかかります。それを見越して時間を計算するようにします。

 全体の時間を考えるのと同時に、移動にかかる時間、休憩時間や、話やアクティビティなどの体験をする時間も十分取れるように考えておきます。どこで休憩をとるか? どのくらいの時間とるか? 何回とるかということもしっかりと考える必要があります。先にあげた空間把握とも連動しますね。どこでどのくらい時間をかけるかを、下見時にしっかり考えておきましょう。

 経験の浅いうちは、本番になると想定よりも時間がかかりすぎたり、逆に早く終わり過ぎてしまったりすることもあるものです。しかし、これは何度も何度も経験を積むことで自然と解消されるものです。経験を積んで本番との差がなくなるように「予測の精度」を高めていきましょう。

小さなまちのどこにでもある資源を魅力あるストーリーに変え、伝えるための12のコツ  ~ステップ3 ガイドのためのフィールド調査  〜事前に確認しておきたい4つのポイントとは?〜
安心して休憩できる場所と時間を確保しよう

危険を把握する

 3つ目の視点は、「危険」です。ガイド活動は野外で行われるものであり、安全管理はガイドスキルの中でも不可欠なものです。事故が起これば、楽しかった時間も無意味になってしまいますし、それ以降その地域での活動が困難になることも考えられます。特に、まちに比べて自然の中でのガイド活動はリスクが高まるため、より慎重に考える必要があります。

 危険を把握する上で特に必要な視点は主に以下のとおりです。

天候・・・暑さ、寒さ、雨、雷、積雪など。

 夏は熱中症に注意! 下見時と本番が異なることも想定されるので、天気予報などで十分天候を確認しておく。また、天候が急変しやすい、気温が急激に下がる、急に風が吹くなど、その地方独特の特徴もある。はじめてのまちである場合、地元の人に話を聞いておく。

危険生物・・・スズメバチ、マムシ、カ、アブ、ヌカカ、ウルシ、スギ花粉、ヒノキ花粉など。

 普段から自然の中でのガイド活動に慣れていない場合は、この部分のチェックが甘くなりやすい。まちでも、水辺などは夕方になるとカやブヨ、アブなどが発生することがある。

地形・・・段差、坂道、滑りやすい道、でこぼこ道、側溝、川、海など。

 参加者が高齢者である場合、1センチほどのちょっとした段差で転んでしまうこともあるため、足元の確認を十分にした上でルートを設定する。ガイドポイントを川辺や海辺に設定する場合、流れや波の音でガイドの声を遮らないか、しっかりと確認すること。

交通・・・車、バイク、自転車、電車など。

 実はまちでのガイドで一番危険なのは「車」や「バイク」である場合が多い。交通量のチェックを怠らず、ガイドポイントは車通りが極力少ない場所にすること。盲点になりやすいのが、平日に下見を行い、本番が土日である場合。観光地などでは交通量が全く異なる場合がある。天候と同様、地元の人に話を聞いておく。

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