地域の魅力を再発見 関係人口をつくるツアー「だめにんげん祭り」とは?

江澤香織フード・クラフト・トラベルライター

2018.05.16

江澤香織 だめにんげん祭り
京都市伏見区。「御香宮神社」内のスペースにて交流会。地元の人が50人くらい集まり、持ち寄りでつまみを準備してくれた

ツアーはどんなふうに行っているのか?

江澤香織 だめにんげん祭り
高知県・中土佐町久礼。「西岡酒造店」にて、蔵元のご厚意により蔵内で交流会。杜氏がカツオを焼いてくれた

 私たちはプロではないので、旅の企画は毎度手探り&手作り状態です。現地のささやかなつながりから手繰り寄せ、人をつないでもらいます。この人だ! という人の出会いからツアーが決まることも多々あります。ほとんど現地の方々に助けてもらって、毎回思いがけない盛り上がりを見せています。「だめにんげん祭り」という一見おかしな名前が逆にキャッチーなようで、記憶に残してもらえ、名前のゆるさから親近感を持ってもらえ、この名前を面白がってくれる懐深い人とつながることができています。

 実際、この名前に反応してくれる人で、本当にダメな人はいません。私もそうなんです、とニコニコ話してくれる人は大抵人としてしっかりした、優秀な方が多いです。だめにんげんが集まるのではなく、だめにんげんになりたい人、自分もダメなやつだと笑って認めた上で、心広く居心地よく人とつながりたいと思う人が集まってきます。

 ツアー内容は酒蔵めぐりの他、酒にまつわるものづくり見学(味噌蔵や市場散策などのつまみ系、有田焼・小鹿田焼・輪島塗など酒器周りの工芸、酒米田んぼ見学など)、夜の酒場徘徊(バー、スナック、シメ飯まで)、酒にまつわる寺社参拝や祭り参加(京都の松尾大社参拝、新潟酒の陣参戦、高知のおきゃく祭り参加、白川郷のどぶろく祭り参加など)、その土地らしい酒文化体験(佐賀白石町の蓮見酒、京丹後のイカ徳利作り体験)など毎回その地域に合わせてわっとネタ出しし、取捨選択していきます。

 現地では、なるべく詳しい人による解説を入れるようにしています(ブラタモリ的なイメージ)。夜の街徘徊にも、現地の酒マスターに案内いただくようにして、参加者が現地の人とつながれるきっかけをつくるようにしています。ちなみに常にお酒は切らさないよう配慮し、参加者は首からお猪口を下げ、バスに乗った瞬間から、飲みたい時間に飲みたい人が無理ない範囲で自由に飲んでいいことにしています。(無理やり飲ませる人はおらず、みんな自分のペースでやっています。実際はそんなに飲まない人もいますし、自己責任で潰れる人もいます)バスの座席はテーブルを囲むサロン型にして、多くの人と会話がしやすいようにしています。

江澤香織 だめにんげん祭り
青森県・弘前市の街を熟知した地元の団体「路地裏探偵団」による、夜の街案内

江澤香織だめにんげん祭り
佐賀ツアー中のバス車内。サロン型にして交流を図る

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