旅行者から見た魅力ある世界遺産とは？　キーワードは3つの「M」

久保美智代旅する世界遺産研究家、日本イコモス国内委員会会員

2014.11.17

世界遺産の魅力を発信し続ける仕掛けや工夫が必要

　世界遺産はいま世界中にいくつあるか、ご存知ですか。

　答えは1,007件。このうち日本には18件あります。この数は、年1回開かれる世界遺産委員会で増えています。

　では、知っている世界遺産を挙げてみてください。おそらく100件も出ればよい方です。

　つまり、世界遺産の多くは、私たちが知らない場所なのです。しかし、有名でないからといって訪れる価値がないなんてことはありません。むしろ、そんな場所にこそ秘められた魅力があります。

　近年、「世界遺産」＝「観光振興」と考えられがちですが、果たしてそう簡単な話でしょうか。確かに世界遺産になれば一躍脚光を浴び、観光客が増えることもあるでしょう。しかし、次々新しい世界遺産が増える中、世界遺産を観光に生かしたいのであれば、魅力を発信し続ける仕掛けや工夫を常にしていく必要があると思います。

　これまで私が50カ国以上、378件の世界遺産を訪ねた旅の経験から、「魅力がある」と感じた取り組みについてまとめてみました。主な舞台は、有名ではない世界遺産。キーワードは、3つの「M」です。

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