地域と歩む一歩が、生きる道を拓く。「東栄まちあそび塾」を仕掛ける伊藤拓真さん

2017.11.24愛知県

もうける仕組みより、まずはやってみる

 2017年春、伊藤さんは通信制の大学に転学し、東栄町に住み続けることを決めた。
 そのころから、町内のさまざまなところより仕事の声がかかるようになった。茶の加工場、養鶏場、ブルーベリー農園などだ。それぞれ年間を通じて仕事があるわけではなく、表立った求人はしていないが、実は人手不足だった。

伊藤:地域外から信頼関係が持てないまま雇い入れようとはしていないのだと思います。私もやっと声がかかるようになってきて「そういうことだな」と思いました。
 いろいろなところを手伝いに行く中で、こういう仕事もあったのだと知ることができています。話を聞きに行くだけではなく、そこに入り込んで一緒に作業することで、課題も、新しい事業になりそうな部分も見えてきます。

 仕事が入るようになったことで、他の活動にも取り組めるようになってきた。このとき伊藤さんの役に立ったのが、東栄町観光まちづくり協会の「コミュニティカフェ」だった。
 2017年4月に設立された協会では、協会が手伝うことで住民のやりたいことを形にし、「東栄町を元気にする」ことを目指している。伊藤さんは協会設立前のワークショップから参加していた。コミュニティカフェは今年5月から月1回、テーマを決めて気軽に話し合う場として設けられたものだ。

伊藤:自分の好きな活動をしたり、発信したりする中で、大きい利益を求めるわけではないが活動を広げたいと考える方々を目の当たりにして、今がオンパク手法を用いたイベントを行うタイミングなのではないかと思い始めました。
 もうけは置いておいて、まずやってみたいと思ったのです。

IMG_1257コミュニティカフェ

 これまでイベントの案をいろいろな人に話していたため、伊藤さんのやりたいことが町内でもある程度認識されるようになってきていた。協会の大岡千紘さんらも、伊藤さんの思いと協会の方向性が合うと考え、伊藤さんの手伝いだけでなく、協会の事業としての協力を考え始めた。
 そうした中で、伊藤さんの計画も少しずつ具体的な形になってきた。当初はプログラム実施者を事業者中心に考えていたが、コミュニティカフェで出会ったような、地域の人を中心に考えることにした。

伊藤:趣味の延長でも魅力的なものがあるし、それを地域内外の人に体験してもらってその人の趣味になれば、引き継ぐことができます。今回のイベントを事業者さんにも見ていただいて、一緒にできる部分が出てくるといいと思っています。オンパクの手法を参考にはしますが、それがどこまで合うか、試行錯誤しながらやりたいと思っています。

 こうしてまとまったイベントのタイトルは「東栄まちあそび塾」。東栄町観光まちづくり協会と若者地元会議りんのコラボ企画とし、東栄まちあそび塾実行委員会の主催とした。木登りや山登り、サイクリング、リースづくりといった、地域の人が講師となる4つのプログラムと、りんが企画する4つのプログラムからなる。

キャッチ画像東栄まちあそび塾イメージ

体験
体験イメージ

 将来的にはもっと規模の大きいものにしたいと考えているが、まずは小さくても始めてみようと伊藤さんは考えている。ウェブから予約できるシステムも整えた。
 りんが企画するプログラムは12月28日から1月2日までの間に行われる。餅つきや、初日の出や花祭を見に行くなどのプログラムだ。町外に住んでいる若者も、年末年始は町に戻り、地域を楽しめる企画となっている。

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