地域と歩む一歩が、生きる道を拓く。「東栄まちあそび塾」を仕掛ける伊藤拓真さん

2017.11.24愛知県

東栄町で楽しく過ごす、普通に生きる

伊藤:地元に自信を持てないと思っている人が東栄町には多くいます。でもそんなことはありません。同年代の子からもよく「地元は好きだけど」と聞きますが、好きだと思うのは何かあるからだと思います。それがもっと目に見えるようになって、ここで育った人が「地元にこういうものがある、それに自分がこうかかわっている」と楽しそうに話す姿、そして実際に楽しく過ごしている姿が増えるといいと思います。それを見て次の世代が育ち、受け継がれていく姿をつくるところまでが目標です。
 地域にとっては花祭の存在も大きいと思います。私の世代で止めたくはありません。祭りが続くというのは、思いもつながっているということだと思います。

 今後は「まちあそび塾」の拡大に加え、これまで自分が町内で経験してきたようなさまざまな仕事を体験してもらう「まちしごと塾」なども展開していきたいと考えている。また若者地元会議りんでは、地域にある仕事や若者へのニーズの調査、また町出身者の地元への意識などについての調査も行いたいという。

 実は9月から、伊藤さんは町にある、地域活性化などを目指すNPO法人てほへのスタッフとなった。てほへが開催した夏のイベントの手伝いなどをしていて、声をかけられたのだ。勤務形態などはまだ調整中だが、お互いの目指すところを尊重して関わり合えるよう前向きな話をしている。
 てほへの仕事に加え、今後も地域のさまざまな困りごとに関わっていく中から仕事をつくり、生活していくつもりだ。

伊藤:地域の中で過ごすには、一つの仕事につくだけではなく、いろいろな仕事をする人になってもいいのではと思っています。決まりきったことをやりたくはないです。これまで高度経済成長時代などを経験された方々にとっての「普通」で、これからの「普通」をつくっていくのは違和感があります。敷かれてきたレールから外れていても、これから先はこちらのほうが普通になることもありえます。

DSC_0177茶畑

 すぐにイベントで収益を上げる仕組みをつくることはやめた。しかし、伊藤さんが地域のことを思って動き続け、新たに直面した集落の課題にも真摯に取り組んだことが、合わせて生計を立てていけそうな仕事を呼び込んだ。収益を上げる事業を立ち上げ、それで自身の生計も得ることだけが、地域のことを思いながら生活する道ではないのだ。稼げないことを理由に諦めるのではなく、やり方を考えて「まずはやってみる」選択肢を持つことが事態を動かすきっかけになる場面は、実はあちこちにあるのではないだろうか。

リンク:若者地元会議りん
リンク:東栄まちあそび塾

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