サイクルツーリズムでしまなみ海道の活性化を目指すシクロツーリズムしまなみ

山本優子NPO法人シクロツーリズムしまなみ 代表理事

2017.10.23広島県愛媛県

目標は自転車文化の創造

サイクルツーリズムでしまなみ海道の活性化を目指すシクロツーリズムしまなみ
ペダルがなく地面を蹴って進む「ランニングバイク」

 サイクリストに選ばれるまちづくりと島の暮らしを体感するガイドツアーの実施で、多くのサイクリストが訪れるようになったしまなみ海道。今後はサイクリストだけでなく島の住民にも自転車(スポーツバイク)の楽しさを体感できるプログラムを展開していきたい、と山本さんは考えている。

山本:現在は未就学児を対象にランニングバイクのイベントや選手権を実施し、自転車が大好きなキッズを育てるプログラムを進めていますが、今後は、小、中学生を対象にロードバイクでしまなみ海道を旅するプログラム、50~60代を対象に健康づくりのためのプログラムなどを実施できたらいいですね。

 私たちの身近にある自転車と言えばママチャリだが、重たくてめんどくさい乗り物として、大人になると乗る機会がずいぶんと減ってしまう。山本さんはこうしたイメージを払拭し、自転車文化の創造を目指しているのである。

山本:例えばママチャリとロードバイクでは重さが全く違います。軽くてこぎやすく、ギアチェンジ一つで坂もスイスイ登れます。軽くて楽しくて、どこまでも行くことができる。そんな経験を多くの方はしていないんです。一人でも多くの人に楽しさを伝えて、自転車をもっと暮らしに取り入れてもらえたらと思っています。

 さまざまな地域で自転車を活用したまちづくりが行われているが、まちづくりに大切なことを最後にうかがった。

山本:自転車まちづくりって、一部の愛好者のための活動だと思われがちです。でも、自転車って本来、誰でも気軽に乗れる身近な乗り物ですよね。普段着のまま、いつも車で走り抜けてしまう道を散歩するように自転車で進んでみると、まちの素顔が見えてきます。普段の生活に自転車を取り入れてもらえるような雰囲気づくりをしながら、地道に長く、住民の皆さんと活動を続けたいですね。

 日本を代表する自転車旅行地となったしまなみ海道。それを支えた住民やシクロツーリズムしまなみの挑戦はまだ終わらない。自転車文化の創造を目指し、日本に新しい風を吹き込もうとしている。効率ばかりが優先し、大切な何かを見失いがちな昨今、豊かな暮らしのヒントがここにはある。

リンク:シクロツーリズムしまなみ 

(インタビュー・文/塩田恵理子)

取材対象者プロフィール

山本優子

山本優子NPO法人シクロツーリズムしまなみ 代表理事

愛媛県生まれ。2001年今治NPOサポートセンターで島しょ部の地域活性化に携わる。2005年「自転車モデルコースづくり事業」のコーディネーターを経て、しまなみスローサイクリング協議会結成。2009年NPO法人シクロツーリズムしまなみ設立。

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