Sakeから観光立国を目指して 酒蔵ツーリズム

平出淑恵酒サムライコーディネーター

2015.02.16佐賀県

日本酒と蔵の可能性

WSET(Wine&Spirits Education Trust) のSake講師研修旅行(天領酒造、岐阜県下呂市)
WSET(Wine&Spirits Education Trust) のSake講師研修旅行(天領酒造、岐阜県下呂市)

 筆者は民営化前の日本航空に客室乗務員として採用され、2010年に経営破綻するまで現場で月に20日は乗務という生活を28年間続けてきた。20年以上前にソムリエの資格を取得し、乗務の傍ら世界のワイナリー巡りを楽しんできた。海外のワイン専門家との交流から、80カ国以上で生産されグローバル市場で競い合うワインが、その競争の中で嗜好品の枠を超えた経済効果を持ち、世界的な銘柄がそのワイナリーのある地域も発信して地域をブランド化しているのを知った。

 日本酒が同じ醸造酒としてワインに劣らない品質であると知った時に、全ての都道府県に存在する日本酒の蔵が、素晴らしい可能性を秘めた観光資源であると確信した。名醸ワインの本場フランスは、その生産量の半分ほどが輸出され、その外貨獲得額は8,000億円だ。日本酒は現在、まだ生産量の2%しか輸出されておらず、金額も115億円だ。

 最近、日本は外国からの観光客が増えて年間1,300万人を超えたと報道が続いているが、フランスは年間8,000万人だそうだ。日本酒輸出も訪日観光客もまだまだ伸び代がありそうだ。

 フランスへの観光客全てがワイナリー観光をするわけではないにしろ、パリのどのホテルにも日帰りのワイナリー観光の案内がある。フランスワインが世界に知られているからこそ、フランスに来た機会に生産地まで足を運びたいとなるのだろうが、世界的にもワインツーリズムは旅行産業の立派な一分野だ。だからこそ、日本酒を世界に知られたものにしていくことは自然に地方への送客にもつながるのではないだろうか? 日本酒の海外進出によって東京や京都という地名以外に全国の酒どころの地名が知られていくだろう。

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