未来の担い手をつくる観光まちづくり  高校生の居場所をつくり、一緒にまちの将来を考える佐原プロジェクト

「さわらぼ」の始まり

 佐原に通う高校生とまちとの関わりをもっと生み出そう。そのためには高校生の居場所が必要なのではないかと考え、実験的拠点として「さわらぼ」を立ち上げることになりました。古い町並みが残るエリアの中の空き店舗を一時的に活用し、高校生が放課後に過ごす居場所としつつ、住民の方々と一緒にまちの将来を考えていく拠点にしようという取り組みです。名前の由来は、「さわら+らぼらとりー」。佐原のまちなかの研究室というイメージです。

未来の担い手をつくる観光まちづくり       高校生の居場所をつくり、一緒にまちの将来を考える佐原プロジェクト
小野川沿いの初代さわらぼ。現在では雑貨店が入居している

 これまで2015年から約3年間、歴史的市街地の中の3か所で「さわらぼ」を運営してきました。

 「初代さわらぼ」は小野川沿いの人通りが多い場所にあったため、高校の部活動の場所として活用しました。吹奏楽部や演劇部の発表時には、地元住民や観光客を招待する活動も行いました。

 「二代目さわらぼ」は香取街道沿いの歴史的市街地エリアの端にあったため、主に「佐原の大祭」や年数回のイベント時に会場として開放し、観光客を呼び込む企画を行いました。八坂神社近くに場所を移した「三代目さわらぼ」でも同様の活動を行っています。

高校生の視点で佐原の魅力を発信

 これまで、「さわらぼ」や別にお借りした建物で、活動に協力してくださる市の職員や地元NPO法人の方々とまちづくりについて話し合ってきました。その延長線上で、高校生の日常の活動を披露したり、高校生ならではの視点で佐原の魅力を発信していく企画を考え、実施してきました。そのいくつかをご紹介します。

音楽部の合唱コンサート

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 初代さわらぼで開催した地元高校の音楽部の合唱コンサートには、通りすがりの観光客も訪れ、お客様が建物内に入りきらないほど大盛況となりました。

2016年度高校生企画①「辛口!佐原かるた」

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 佐原がもっと良くなってほしい。そのためには悪いところもはっきり言おうということで、直していきたいことを札に書いたかるたです。絵は発案者の高校生によるものです。

2016年度高校生企画②「さわらぼスイッチ」

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 1日だけ倉庫をお借りしてピタゴラス装置をつくりました。建物の古い造りに装置を組み込むことで、お客さまに建物にも目を向けてもらおうとしたものです。

「さわらぼ」から得られたこと

 「さわらぼ」は毎年場所を変えながら色々な場所で試行錯誤して運営しているため、佐原のさまざまなエリアでどんな役割が必要かを考える良いきっかけになっています。

 大きな成果の一つは、地域の方が高校生の活動を次第に手伝ってくれるようになったことです。高校生のみでは達成できないことも多く、企画・実行していくには周りの大人たちの手助けが必要です。住民の方々には、「さわらぼ」の候補場所を手配してもらったり、高校生が企画準備で戸惑っているときに手を差し伸べてもらったりと、いつも大変お世話になっています。

 成果の二つ目は、「さわらぼ」の活動に興味を持ち続けていた一人の高校生が、卒業後にインターンで佐原に帰って来てくれたことです。大学のインターンの一環として「さわらぼ」の運営を手伝ってくれました。この活動によって、卒業後も佐原のまちに興味を持ち続ける担い手が少しずつ育っていること、同時に、まちに所属していなくても参加できる場があれば、一度佐原を出ても戻って活動できるという強さを実感しました。

 課題としては、高校生による運営はメンバーと場所の流動性が高く、より多くの人を巻き込むことができる反面、さわらぼ周辺の方々への周知が十分に進んでいない点が挙げられます。若者から高齢者まで、地元住民から観光客まで多様な立場の方々に情報発信するために、今後何らかの方法を考えていきたいと思っています。

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