楽しみ方を知れば、地域はもっと楽しくなる。ウェブメディア「ちちぶる」
掘り出して、楽しみ方を伝える
ちちぶるはそのターゲットを「観光客と地元の人が半々」と考えている。20代後半から30代くらいまでの女性観光客や、情報感度の高い若者を意識した発信によって、結果的に幅広い年代に届けることを考えている。また、秩父に気軽に行ける首都圏の観光客を想定している。ちちぶるでの「秩父」とは秩父市と秩父郡、1市4町を指す。「地域の人には市町村単位の意識が強いようですが、ユーザーには関係ないことです」。
浅見さんは秩父出身だが、地域の「外の人」の目線を何よりも大切にしている。
浅見:秩父から離れていた期間が長いからこそ、フラットな視点を持てているのではないかと思います。他のいろいろな地域の話も聞きながら「ここがいい」と思ったところを発信しています。それが自分のミッションだと思っています。
例えば昨年、横瀬町芦ヶ久保にある長い滑り台を取材し、次の記事で紹介した。
【秩父、芦ヶ久保】隠れたアクティビティスポット「横瀬町農村公園」のロング滑り台がスゴい!
これまで、特に地域外の大人には伝わっていなかった「滑り台」の存在が伝わり、記事掲載後には、わざわざ滑り台に遊びに行った人が何人もいたそうだ。
他の記事でも「行ってみました」というコメントがついたり、紹介した店の人から「ちちぶるを見て来た人がいた」と言われたりして、反響を感じているという。
浅見さんは「ちちぶる」のコンテンツポリシーとして、「その土地の「本来持っている必然性」を持ったコンテンツを作る」ことを考えている。
浅見:ゆるキャラや名物など、背伸びをしていいものをつくろうとしても息切れしてしまうと思います。もともと独自の魅力をいくつも持っているのに、それに自信を持っていないし、気付いていないだけなのです。
だから、アニメやゆるキャラなど、もともと秩父が持っていた魅力ではないものは、取り上げないことにしている。こうした姿勢を貫くことが、ちちぶるのブランディングにつながっている。
また浅見さんは、地域資源を掘り出すだけではなく、魅力を伝える記事にすることにも力を入れている。そのために「楽しみ方を伝えることはとても大切」だという。
例えば秩父三大氷柱の一つ「芦ヶ久保の氷柱」。三大氷柱の中には一部で天然の氷柱が見られるものもあるが、芦ヶ久保は人工だ。そのことだけを伝えると、ネガティブにもとられかねないが、伝え方を変えればその魅力を訴えることができる。
浅見:例えば「天然でもできますが、こんなにきれいにならない。より美しさを出すために、長年氷柱作りをしている人が、その日の温度や湿度によって水の量を変えないとできない。手塩にかけて育てた、こだわりの手作りなんです」と言うと、印象が全然違います。
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