外国人観光客へ英語で応対する際のポイントとは? ホスピタリティ産業での英語の重要性
急増する外国人観光客
ホスピタリティ産業は、成長産業である。世界観光機関(UNWTO)によれば、現在、観光する人の数は、世界で約10億人といわれ、その数は2020年までに約14億人、そして2030年までに約18億人になるとも予測されている(注1)。
一方、国内に目を向けると、2014年の訪日外国人旅行者数は、年間1,300万人を超え(注2)、10年前と比較して、約2倍に増えたことになる。しかしながら、日本の観光関連団体、事業所などの多くにおいて、外国人旅行者に対する受け入れ態勢は、十分整っているとは言い難い。特に、英語での現場スタッフの対応力についてはまちまちで、観光に従事する多くの方々が悩むところであろう。
そこで、今回は、観光の場面で使う英語や外国語を学ぶポイント、外国人をもてなすポイントなどについて議論してみたい。
(注1)UNWTO Tourism Highlights, 2014 Edition
http://mkt.unwto.org/publication/unwto-tourism-highlights-2014-edition
2015年5月9日アクセス
(注2) 日本政府観光局(JNTO) 報道発表資料
https://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/20150120.pdf
2015年5月9日アクセス
大事なのはコミュニケーションを図る積極性
まず、外国人観光客に対応する上で重要な資質の一つは、外国人が来た時に物怖じせず、片言でもいいのでコミュニケーションを図ろうとする積極性である。この積極性がなければ、失敗や問題が生じることはなく、それらの反省をもとにさらなる言語習得へのモチベーションの向上に繋がらない可能性があるからだ。
筆者は、以前、都内にある某外資系高級ホテルで研修させていただいたことがある。ごく短期間ではあったが、そこで活躍する日本人ホテリエの方々の自信を持った外国人客への応対に驚かされた。館内にある有名レストランのマネージャーは、迷っている外国人客を見かけると即座に足を運び、流暢な英語表現で丁寧に対応していたのである。
外資系ホテルでは、ごくあたり前の光景ではあるが、当時は、相当英語が達者であると感じ、「とても英語に慣れてらっしゃいますね。どこで英語を学ばれたのですか」と聞いてみた。すると、「いえいえ、ホテルで働きながら今でも学んでいるところです」と恥ずかしそうに応えてくれた。特に、留学などをしたわけでもなく、英語を専門に学ぶ学校に通ったわけでもなく、現在でも定期的に行われる社内英語レッスンを受けながら、現場で生かしているとのことだった。
つまり、彼は、ホテルで頻繁に用いられる英語表現を中心に学び、日々の業務で実際に使うことで、限定的とはいえ、お客様が必要としている基本情報に関しては、自然に対応できるレベルにまで至っていたのだ。
これは、何もホテルに限ったことではなく、その他の観光産業の中でも適応が可能だと考えられる。どの言語においても「どこで」・「だれに対して」使うかによって、使用される表現はある程度絞ることが可能であろう。観光産業の中で使われる表現に焦点をあてると、それらの多くが人を「もてなす」ことであったり、「助ける」ことであったり、「情報を提供すること」などの表現であることに気づく。これらの決まった表現(Set Phrases / Fixed Phrasesなどと呼ばれる英語の定型文)をできるだけ多く身に付け、さらに自信を持って応対すれば、極端に外国人を恐れる必要はないだろう。
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