極上のアクティビティ。銭湯が観光の舞台に 全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会 近藤和幸さん

近藤和幸全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会理事長

2017.03.06東京都

銭湯が観光スポットに

 この銭湯を、大田区が観光スポットとしてPRしはじめたのは5~6年前からだ。区長の呼びかけに近藤さんが「やろう」と応じた。現在では、大田区の観光パンフレットには必ず銭湯が記載されている。外国人のリピーターが多くなってきた今が、外国人観光客に銭湯が注目されるチャンスだとみている。

近藤:これまで、妻と韓国へ8回ほど行きました。2~3回目までは観光名所へ行くのですが、いつも同じところを回っていると面白くない。その国の庶民の方々が普段食べている美味しいものや、普段の生活の一部を体験してみたいと思うようになりました。東京も、外国人観光客の好みがだんだん多様化してきています。銭湯は江戸時代からある庶民の文化です。外国の方にもそれに親しんでもらいたいと思っています。

 銭湯大使のステファニーさんが話すように、外国人観光客にとって銭湯は、見るだけではなく新しい「体験」ができる場所だ。区内には銭湯以外にも、庶民が暮らす下町情緒を感じさせる、活気のある商店街がいくつもある。また池上本門寺や馬込文士村など歴史を感じられる場所もあり、羽根つき餃子などの名物グルメや、手ごろな値段で満足できる庶民派食堂も多い。

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蒲田西口商店街

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馬込文士村散策のみち

 大田区では現在も、区内を巡るモデルコースの新しいパンフレットを作成中で、近藤さんも協力している。

近藤:銭湯だけに来てと言っても難しいので、「商店街とグルメと銭湯」とか、「ウオーキングと名所めぐりと銭湯」とか、セットにすることで銭湯を巡るチャンスをつくっていきたいです。

 区内には羽田空港がある。2010年に国際線の発着が始まり、区内に宿泊する外国人観光客も増える中、到着後や出国前、乗り継ぎ待ちの2~3時間程度、空港周辺で観光をしたいというニーズがより高まっている。こうしたニーズに応え羽田空港から出発してまちを歩き、銭湯に入り、おいしいものを食べ、空港やホテルへ向かうルートを提案するパンフレットもある。限られた時間の観光でも、銭湯であれば営業時間内ならいつでも訪れることができる。体験型の観光を求めるリピーターが増える中で、銭湯は気軽にそれが叶う貴重な場所なのだ。
 大田区では現在、電動アシスト付き自転車のコミュニティサイクルの整備を進めており、整備後には自転車で区内を巡ることも可能だ。羽田空港から蒲田までは自転車で約15分と、周遊しやすい距離にあり、2~3時間あれば多摩川沿いのサイクリングなどもできる。

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