「まちおこしゲリラ集団あおぞら組」「津軽海峡マグロ女子会」 笑いと元気で津軽海峡エリアを盛り上げる島康子さん
知られていない地域や人に光を当てる博覧会
地元の楽しいこと、美味しいものを知り尽くしたマグ女が案内する「マグ女のセイカン♥博覧会」
「マグ女のセイカン♥博覧会」は青森、津軽、下北、南北海道、函館のエリアで、まち歩き、グルメ、手作り体験など35の着地型体験プログラムで、2016年10月1日~11月15日に開催した。このイベントはお客さまが好きなプログラムを選び津軽海峡エリアを巡って楽しむというもの。マグ女一人一人がおもてなしをして、博覧会のパビリオン(展示館)としての役割を担った。
島:博覧会は、北海道新幹線開業に向けた1回限りの誘客が目的ではなく、毎年継続しようと始めたものです。あまり知られていない地域や人に光を当てたプログラムなど、マグ女たちが試したい内容が盛り込まれています。
プログラムは「ヒバっ娘とヒバじぃが案内する、薬研アロマ散歩」「お肌も心も美しくなーれ!もてマグ男の住職と下風呂温泉の朝座禅」「松前海の幸ランチと松前藩主のお宝拝見」など、女性の視点が生かされた多彩な内容である。
また、博覧会やプログラムのネーミングがどれも個性的でおもしろい。
島: 世の中をざわざわさせたいので、行儀良くしているだけでは、人の心に印象を残せないですよね。ネーミングを見た人が「それって何?」とわくわくさせるような表現にする方が、おもしろくて価値のあることだと思っています。
島さんが手がけたプログラム「大間のバグダンマグ女とめぐる爆笑!浜まぢあるき」では、都会暮らしや仕事などで疲れている人をターゲットとし、地元の食事や地域で「笑い」を交えた地元住民との触れ合いなどで元気になることを盛り込んだ。
島:人気を集めたプログラムは「自衛隊の艦艇に潜入!海軍カレーを食べよう」です。普段は入ることができない艦艇に一般の人でも入れるという珍しさが人気につながったのかと思います。
自衛隊の艦艇に潜入!海軍カレーを食べよう 艦艇によってカレーの味が違うので食べ比べもできる
一方、良いと思っていたのに客足が伸びなかったのが、温泉街で料理とお酒を楽しめるプログラムで、宿泊と交通機関をセットにして売り出さなかったことが要因と島さんは推測する。
また、「マグ女と歩くほろ酔い散歩」は、博覧会だけでなく、通年でも人が集まるプログラムだと実感した。青森市、五所川原市、むつ市などの駅を中心としたエリアのお店で、酒と食事を少しずつ楽しむという内容である。
島:今回の開催を出発点と考え、お客さまの評価によって、良い点は残し、反省点は改善しながら、地元愛あふれるマグ女ならではのプログラムへと磨き上げていきます。マグ女だけでなく、地元の人を一緒に巻き込みながら、津軽海峡エリア全体を盛り上げていきたいです。
こうして博覧会を終えることができたのも、マグ女たちはアイデアを出すだけでなく、まずは「やってみよう」と自らがプレーヤーとなって動いたので、形になって進んでいったのである。
さらに職業や年齢などが異なるマグ女たちをまとめるために工夫にしていることについて島さんはこう話す。
島:私が工夫したというよりは、マグ女の活動には「自慢する前にまず褒めよ」という掟があります。まず人を褒めてから自慢するのです。そうした姿勢がお互いのふるさとを認め合い、良い意味で競争をしながら、一つのエリアとして連携できているのだと思います。
北海道と青森県が対決する企画はあっても、一つのエリアとして新しい価値を生み出したことは、これまでにない取り組みとして多くのメディアからも注目されている。
マグロ女子会の今後の活動は、グッズ制作などにも取り組みながら、マグロ女子会が自立的に活動できるような収益づくりも行っていく。
島:津軽海峡エリアで交流人口を増やすことも大切ですが、私たちの活動をみて、10~20代の人たちが興味を持ち、将来もふるさとで暮らしたいと思えるようなまちにしていくことも大事だと考えています。
島さんが笑いと元気を大切にした活動を続けることで、ふるさとを誇りに思う人が津軽海峡エリア全体に波及し、変化していく未来が楽しみである。
(インタビュー・文/塩田恵理子)
リンク:Yプロジェクト株式会社
■取材対象者プロフィール
1965年、青森県大間町生まれ。大学卒業後、(株)リクルートに就職。東京、仙台での生活を経て、1998年に大間町へUターン。2000年にまちおこしゲリラ集団「あおぞら組」を結成し、おもしろがる心で地域を元気にする活動を行っている。
2005年に青森県教育委員会委員に就任。2010年に下北半島の元気づくりプラットフォーム「NPO法人ぷらっと下北」代表に就任。2013年にあおぞら組の収益事業を法人化「Yプロジェクト株式会社」を設立。
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