人と人がつくる地域おこし協力隊のしごと 鳥取県倉吉市関金地区
関金温泉の次のステップへ
上所さんは関金しゃあまけ笑会にも参加する。茶屋は現在、賃貸料を払うために、住民の交流拠点というよりもカフェとしての運営を主に考えざるを得ない状況にある。温清楼の露天風呂と組み合わせれば、地域外からも人を呼び込めると考え、会では露天風呂の復活に取り組むことを決めた。ただし建物の改修のときと違って市の補助金はない。
上所さんは協力隊としての次のステップは「具体的なプランを立てる」こととしており、そのメインは温清楼の露天風呂の復活と考えている。
上所:
「開湯1300年の節目を好機として捉え、どうにか再生したい。しかし今は浴場としての認可が切れていて、足湯として使っています。とりあえず肩までつかれる状態にするには、壁の修繕や水質検査などの必要があります。さらに、貸切風呂として事業が成り立つだけの料金をいただくには、上下水道など多くの整備投資が必要です。まずは湯に入ってもらわないと、地域の皆さんが盛り上がりません」
資金について、上所さんはクラウドファンディングなども視野に入れて研究しており、今後しゃあまけ笑会でも検討するそうだ。上所さんに、協力隊が観光に取り組む利点を聞いてみた。
上所:
「外からの視点で関金温泉を俯瞰的に見られるところでしょうか。住民の方々は地域の中にいるので、本当の良さに気付いていません。そこに気付けるところがよそ者のいいところだと思います。また個人的には、海外在住経験があるので、関金を含めた日本全体を外からの視点で見られるところがあると思います。しゃあま家茶屋はまだ地域外からお客さんを呼ぶほどの体制ではないかもしれませんが、温清楼の露天風呂と組み合わせれば、ここに来る目的になるほどのクオリティになると思います」
今後は、露天風呂を復活させて集客が見込めるようにすること、開湯1300年のイベントの成功、地域おこし協力隊の定住すること、その三点が実現できれば、個人としても市としても成功だと考えているという。
地域づくり協力隊の二人と、地域の人々、そして市の担当職員。それぞれの「人」が出会い、交わる中で、協力隊として何をすべきかが見えてくるようだ。一者だけですべてを決めることはできない。観光の分野においても同じである。関金では、それぞれ得意分野を持つ二人と、二人を温かく見守り、新しいことも楽しむ地域の人々とが交わることで、それぞれのやり方での活躍が生まれている。協力隊の活動は隊員だけでなく地域の力でつくられることを、募集前に考える
(取材・文/青木 遥)
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