人と人がつくる地域おこし協力隊のしごと  鳥取県倉吉市関金地区

2016.06.01鳥取県

まずは「知る」「試行する」

 関金温泉の開湯伝説の一つは奈良時代の養老年間(717~724)のものだが、2017年は養老元年から1300年にあたる。これを見据え、また温清楼プロジェクトを共に進める人材を求め、市では2015年7月、新たに地域おこし協力隊の募集を始めた。これに応募し、11月から着任したのが上所(かみじょ)俊樹さんだ。山梨県出身で、移住前はイタリアに12年間在住して弦楽器関連の仕事をし、まちづくりにも関わってきた。

上所
「移住の目的の一つは、海と山に近い食材が豊富な場所で、イタリア式の農家民宿がやりたいという家族の目標をかなえることです。調べると倉吉市は条件に合っていたので、移住の部署に相談に行ったところ、地域おこし協力隊を募集しているという話を聞きました」

 ここには市担当職員の仕掛けがあった。「協力隊への応募があるか心配でした。そこで隣の移住・定住の担当課に来られた県外の方々にも協力隊の募集を紹介できるよう、声をかけるように頼んでいました」

 11月、着任した上所さんは計画を立てた。最初の3カ月は「地域の人を知る、地域おこし協力隊の上所を知ってもらう」。関金のさまざまな人と会い、しばしば酒を酌み交わした。

「関金の団体の連携は課題でした。上所さんが信頼関係をつくっていて助かっています」と市担当職員は喜ぶ。

 次の3カ月は「試行する」期間とした。飲食店での経験を生かして、「しゃあま家茶屋」で3日間イタリアンバールを開店した。市でも告知を行い、関金地区や鳥取県中部を中心に、普段は少ない若い世代や家族連れら、さまざまな人が来店した。地元の猪肉を使ったソーセージ入りパスタなど、関金で普段食べられないものを提供し、満足度が高かったようだ。他にも、市の国際理解講座でエスプレッソコーヒーの文化を紹介し、関金地区のまつりでは海外出身者とともに出店した。

1 2 3 4

スポンサードリンク